第一章
[2]次話
イルカの癒し
ブラジルベルナンブコ州で集中豪雨によって災害が起こっていた、洪水に土砂崩れと大変なものであり。
それは州が違うがネグロ川流域にも及んでいた、川が結界し流域のパリカトゥール村も多くの家が床上浸水に陥っていた。
それでだ、たまたま旅行に来ていたメンドーサ一家もだ。
借りている民家が床上浸水に陥ち立ち往生していた。
「うわ、これは大変だよ」
「とんでもないことになったな」
「旅行に来て洪水なんて」
「運がないよ」
「水の中には入るなよ」
一家の父であり夫であるホセ黒髪に口髭の彼が言った。
「絶対に」
「どうしてなの?」
「何で入ったら駄目なの?」
「この川もアマゾンとつながっているからな」
この大河と、というのだ。
「あそこは色々な生きものがいるからな」
「ピラニアとか鰐とか」
「それにアナコンダとか」
「デンキウナギにオオナマズもいてな」
それでというのだ。
「物凄く危ないからな」
「うん、それじゃあね」
「入らないよ」
「絶対にね」
「鰐やアナコンダが来たらこれで追い払いましょう」
一家の母であり妻であるテレサ小柄で太った彼女は家の中にあった棒を持ってそのうえで夫に話した。
「そうしましょう」
「そうしような」
「棒で叩いたらね」
「アナコンダでも鰐でも退散するからな」
「これで追い払いましょう」
「そういうのが来たらな」
そうした話もした、そしてだった。
家に入ってきた川には入らず警戒もしつつ災害が収まるのを待っているとだった。
「グァッ」
「お魚!?」
「あれっ、違うよ」
「何なのかな」
「これはイルカだ」
家の中の水から顔を出した生きものを見てだ、父は言った。
「これはな」
「そういえばアマゾンってイルカもいたね」
「海と同じで」
「アマゾンも凄く広いから」
「イルカだっているね」
「ああ、イルカが来るなんてな」
父は意外という顔で述べた。
「思わなかったな」
「イルカだと怖くないわね」
妻は夫にそのイルカを見つつ話した。
「別に」
「ああ、全くな」
夫もその通りだと答えた。
「だから餌をやってもいい位だ」
「じゃあお魚釣ったのあるしあげる?」
「そうしてみるか」
妻の言葉に頷いて実際にイルカに魚をあげるとだ。
イルカは嬉しそうにおねだりをしたので一家はさらにあげた、そうしてから何処かに去ったが一家は剃んなイルカを見てだった。
「よかったね」
「イルカが来てくれてね」
「何か嬉しくなったよ」
「それだけで」
「そうだな、来たのがイルカでよかった」
笑顔でだ、父も言った。
「まだ何が来るかわからないが」
「和んだわね」
妻も笑顔で言う。
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