霊峰編 決戦巨龍大渓谷リュドラキア 其の六
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フィレット達やイーヴァ達により、毒を吐き付ける間も無く倒されてしまった子分のイーオス達。その骸を踏み付けながら、不意打ちへの怒りに燃えるドスイーオスが襲い掛かって来る。
その大顎を開いた鳥竜種の親玉は、子分達のものとは比べ物にならない量の毒液を吐き出して来た。
「うわぁッ!?」
「あぶなッ……!」
咄嗟に真横へ転がり回避したハンター達が立っていた場所は、猛毒を帯びた大量の液に塗れている。もしまともに浴びていれば、彼らの防具でもタダでは済まなかっただろう。
この狭い通路内では、足場に注意を払いながら回避するのも難しい。通路の淵に立たされていたことに気付いた彼らは、兜の下で冷や汗をかいている。
「こ、こんな足元がおぼつかない場所じゃあまともに戦えないよぉ……! で、でもっ……こんなところで負けてたら、レマ姉ちゃんに笑われるっ!」
剣モードのレックスディバイドIを手にしているエクサ・バトラブルス。盾で辛うじて毒液を凌いでいる彼女は、足元の奈落を見遣り固唾を飲んでいた。
オロミドシリーズ一式の防具を装備している彼女は、「伝説世代」のレマ・トールと同郷であり、その背を追ってハンターを志した女傑の1人……なのだが、そんな彼女にとってもこの悪条件での戦闘は困難を極めている。
それでも憧れの姉貴分であるレマへの想いが、彼女に蛮勇を齎していた。足元の淵がひび割れていることも意に介さず、彼女は強い踏み込みで前進しようとしている。
「ちょ、ちょっとエクサ! ちゃんと足元見なよっ、危ないぞっ! ……ああもうっ、いつもの広い狩場だったらこんな奴ら楽勝だってのにぃっ!」
そんな彼女の危なげな戦い振りに肝を冷やしているのは、近くでガトリングランスの大楯を構えている小柄な竜人族の少女――ジュリィだ。ギザミシリーズ一式の防具を纏う彼女は、兜の下に菫色の短い髪を隠している。
(だけど……負けるわけにはいかないっ! 絶対にあのクソ親父の鼻を、明かしてやるんだからっ!)
ドンドルマで錬金屋と鍛冶屋を経営している鉱石コレクターであり、自由に採掘が出来るからとハンターを志した彼女は、竜人族としてはまだ幼い。
そのため、無理に里を飛び出して経営を始めた今でも、古龍観測所に務める父とは折り合いが悪いらしい。しかも肝心の経営状況は、いつも閑古鳥が鳴いている。
(……あのクソ親父ぃ〜! 今まで人が来なかったのだって、あいつが手を回してたからに決まってるっ! 観測所なんて古本くさい場所にいるから陰湿になるんだよっ! そんなにあたしのこと嫌いか〜っ!)
ジュリィの店が閑古鳥状態なのは、食うに困れば泣いて戻ってくるだろうという父の手回しの結果なのだろう。単に彼女の接客態度が原因、という線もあるだろうが。
――そ
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