霊峰編 決戦巨龍大渓谷リュドラキア 其の五
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持ち場を離れたハンター達は砲弾を抱えているアーギルとリリアを進ませるべく、毒の脅威を知りながらもイーオス達の注意を引き付けようとしていた。
狭い通路内で、毒液という飛び道具を持っているイーオスを相手に手間取れば不利になる。そう判断したハンター達は素早く間合いを詰め、矢継ぎ早にイーオス達に斬撃を見舞っていた。
「……鬱陶しいったらありゃしない。悪いけど、あんた達の死を悼む暇は無さそうだね」
その一方で――巨大な鉄槌ことウォーメイスを振るい、イーオス達の頭を叩き潰している女ハンターも居る。
バギィシリーズ一式の防具を纏う彼女の名は、エヴァンジェリーナ・アレクセーエヴナ・ゲンナージエヴィチ・グツァロヴァ……通称、イーヴァだ。
グツァロフと呼ばれる、雪に閉ざされた最果ての村。その地の出身である彼女は、10年前に故郷を古龍によって滅ぼされて以来、古龍への報復を胸に生き続けて来た。
代々村を守り続けて来たグツァロヴァ一族最後の生き残りとして、その誇りを守り抜くために。
「……私は、あの老山龍を倒さなきゃならないのに。こんな奴らに、構ってる場合じゃないのにッ……!」??
中性的な美貌と、薄いターコイズブルーの瞳。そして銀に近い白色の髪が、今にも消えてしまいそうな儚さを醸し出している。
イーオスの頭を矢継ぎ早に叩き潰しながら、群れの統率を崩そうとドスイーオスに狙いを定める彼女だったが――首魁に気を取られた彼女を狙い、真横からイーオスの毒牙が迫って来た。
「……ッ!?」
「デカい口を叩く前に、もう少し周りを見たらどうなんだ。……お前1人で戦ってるんじゃないんだぞ」
だが。イーヴァの首根っこを掴み、強引に後ろへと引き戻した青年の膂力によって、彼女の首を狙っていたイーオスの牙は空振りに終わってしまう。その牙は頭部もろとも、青年が振るったレッドビートによってすり潰されていた。
「ルドガー……誰が助けてなんて言ったの」
「許可が降りなきゃ助けられないんだったら、今頃お前は死んでたぜ」
「どうでもいいけど、邪魔はしないでくれないかな。私がどうしようったって私の勝手でしょ。私の命は私が使う」
ガルルガシリーズを纏ったその青年の名は、ルドガー。「伝説世代」の1人であるカエデに窮地を救われて以来、ハンターとしての強さをひたすらに追求して来た期待のホープであった。
ドンドルマを目指して砂漠を渡っていた旅の途中、上位個体のダイミョウザザミと遭遇し、完敗した時。死を覚悟した自分の運命を変えたカエデの刃は、今も彼の眼に深く焼き付いている。
故郷の村を拠点に活動していた時は、無敵の狩人とも言われていた彼は。その時初めて、自分よりも遥かに格上な超越達の存在を肌で実感したのだ。
「こんなところで手こず
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