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モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
霊峰編 決戦巨龍大渓谷リュドラキア 其の三
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 ロエーチェとクゥオによる砲撃も意に介さず、老山龍は常軌を逸する速さで侵攻を続けている。決して効いていないわけではないのだが、それ以上に彼の巨龍は「先を急いでいる」のだ。
 一体何が、どのような存在がこのラオシャンロンを駆り立てているのか。その疑問は尽きないが、今はその真相を追い求めている場合ではない。

「おっ、重いぃ〜っ……! この砲弾、すっごく重いですぅう〜っ! こ、こんなの皆さん、どうやって運んでるんですかぁ〜っ……!?」

 クゥオと同様に大砲の砲弾を運んでいる他のハンター達も、漆黒の丸い鉄塊を懸命に持ち上げていた。クロオビシリーズの防具を纏う1人の女性ハンターは、その並々ならぬ重さにくびれた腰を震わせている。

(う、うぅ〜っ! こんなんじゃあ、一生掛かってもレイン姉さんみたいなハンターになれないよぉ〜っ! 何で私、昔からこんなに鈍臭いんだろうっ……!)

 カムラの鉄笛IIを背にしている彼女の名は、リリア?ファインドール。あの「伝説世代」の1人である、レイン・ファインドールの実妹であった。
 姉のようなハンターを目指して、その道の門を叩いた才媛……なのだが、性格の方は姉とは正反対であり。今もこうして、砲弾を運ぶ要領を掴めず泣き言を上げている。

「バッカ野郎、何チンタラ運んでんだリリアァッ! これから上位に昇格しようって奴が砲弾一つでピーピー言ってんじゃあねぇッ! あの考え無しなイノシシ姫がくたばっちまう前に、俺達でなんとか奴を止めなきゃならねぇんだぞッ!」
「は、はぃぃいっ! ごめんなさいアーギルさぁあんっ!」

 そんな彼女を後ろから叱りつけているのは――フロギィシリーズの防具を纏う年長者のハンター・アーギルだった。ダーティーバロンIを腰に下げている彼は、リリアを叱咤しながらも砲弾を軽々と運び続けている。

「いいか!? 重さは全然違うだろうが、要領は卵の運搬と同じだ! 両腕はあくまで物を固定するための添え物! 腕の力で持とうとするな! 腰で持つんだよ腰で!」
「こ、こうですかぁあ……!?」
「そうだよやりゃあ出来んじゃねぇかじゃあ言われる前にさっさとやれ! お前よりよっぽど非力な俺でもこんなもん楽勝で運んでんだ、お前に出来ねぇわけがねぇだろうが!」
「ひゃ、ひゃいぃっ!」

 共にこの防衛戦に参加した仲間達の中では、単純な戦闘力において最も劣っているアーギルだが――その知識と経験は、彼が上位に限りなく近しい域に居ることを何よりも雄弁に物語っている。リリアの中に眠っている才能を看破しているからこそ、彼は敢えて厳しく彼女を焚き付けているのだ。

「お前、姉さんみたいなハンターになりたいっていつも言ってただろうが! だったら足元なんか見てんじゃねぇ、前だけ見てろ! そんなことじゃあ姉さんに笑われち
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