アインクラッド 前編
気まぐれとパーティー
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になるということはログアウトすることと同義なんだ!! ……だから、だからこの柵を乗り越えてここから飛び降りれば……!」
「無理だな」
自信など少しも含まれておらず、ただただ悲痛な感情を帯びたその叫びを、マサキは遮って言った。
「俺は昨日、ナーヴギアの内部構造を個人的に調べた。そしてその結果、明らかに通常のゲームプレイでは使用されることのない回路を二本発見した。一本はICチップからバッテリセルに延びた回路で、用途はおそらくプレイヤーのゲームオーバーを感知して脳焼却シークエンスの命令をバッテリセルへ通達すること。もう一本はバッテリセルからマイクロウェーブ発生器へ大きな電気を一気に流し込むための回路だ。通常の回路では脳を焼き切るほど強力な電流を流そうとしたら、間違いなく脳よりも先に回路が電圧によって焼き切れる。だからこの回路を作ったんだろうな」
マサキが一言発する度に、目の前のプレイヤーは恐怖と不安を増大させていき、ついには再び俯いてしまった。マサキはそんなことはお構いなしに、他人にここまで介入する自分を珍しく思っていたのだが。
やがて俯いていた彼は、マサキがここにいることを不思議に思ったのだろう、顔に疑問の色を浮かべて言った。
「……じゃあ、じゃあお前はどうしてここに?」
「武器の強化素材集めと、レベリング」
「なっ……!」
マサキの言葉が理解できない、といった様子でのどを詰まらせる。
「ふざけてるのか!? ゲームオーバーになったら本当に死ぬって言ったのは、そっちじゃないか!!」
「別に俺は死ぬつもりで外に出るわけじゃない。さっきも言っただろ? 「武器の強化素材集めと、レベリング」ってな」
「……何でお前はそこまでして危険な場所に向かおうとするんだ? ゲームを自分の手で終わらせたいからか?」
未だに信じることが出来ない風な口調で問いかけるプレイヤーに、マサキはゆっくりと首を振った。
「この街でじっとしているのは、俺の性に合わない。それが主な理由だ」
「コルが尽きたら飢え死にするっていうこともあるがな」と苦笑しながら続ける。さすがに一番重要な理由は隠したが。するとそれを見て、今まで恐怖と不安に震えていただけだった彼が、何やら真剣な面持ちで考え始め、数瞬の迷いの後、何かを決心したように顔を上げ、言った。
「俺も連れて言ってくれないか?」
「何だって?」
「俺をパーティーとして連れて行ってほしい。……俺の名前はトウマだ」
「……分かった。俺はマサキだ」
ゆっくりと立ち上がり、じっとこちらを見据えるトウマにそう答えてから、マサキは自分でも驚いた。いつものマサキなら、絶対にNOだろう。そもそも、このように他人に声を掛けること自体がマサキにとってかなり異例なことなのだ。それに、マ
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