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展覧会の絵
第五話 愛の寓意その十三
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「そういえば料理はです」
「そのお料理ですね」
「絵と同じく作る人の心を映しだすと言われていますね」
「そうですね。俗にですが」
「その人の心を」
 そのことを言う十字だった。
「言うならば鏡ですから」
「お料理が鏡ですか」
「美味しさと見た目、そしてです」
「心も味わうものですか」
「そう思います。ですから」
 それ故にだと言ってだ。十字は。
 絵を描き終えた。それで言った言葉は。
「終わりました」
「あっ、描き終わりましたか」
「はい、これで」
 終わったとだ。筆を置いて言うのだった。
「後は片付けだけですね」
「そうですね。それにしても早いですね」
「描くのは速いですから」
「佐藤君は特にそうですね」
「あらゆることに速くならなければです」
 どうかというのだ。
「やっていけないものがありますので」
「だからですか」
「はい、だからこそです」
 それでだという。ただし何故速くなければならないかは言わない十字だった。
 そしてだった。十字は後片付けをして絵は部室の端に置いた。そうしてそのパーティーのことを考えるのだった。


第五話   完


                   2012・2・7
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