第五話 愛の寓意その十三
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「そうされてはどうでしょうか」
「清原さんのお料理をですか」
「はい、料理部は時々自分達のお料理を校内の皆さんに食べてもらっていますから」
「そうしたことをしているのですか」
「料理は作るだけではわかりませんので」
それでだというのだ。
「自分達だけでなく皆さんにもです」
「食べてもらって味を見てもらうのですね」
「はい、そうしてもらってます」
「成程。それではです」
「それではですね」
「一度召し上がられてはどうでしょうか」
先生は微笑んで十字に提案する。
「美味しいですよ」
「清原さんのお料理はですか」
「そして先生のお料理もです」
顧問のだ。雪子から見て兄にあたる彼のものもだというのだ。
「非常に美味しいです」
「そうなのですか。それでは」
「召し上がられますか?」
「そうですね」
描きながらだ。十字は先生に答えた。
「その機会があれば」
「そうされますね。それでは」
「面白そうですね。料理部のお料理を食べられるなんて」
「我が校はどの部活も積極的ですからね」
「だからそうしたお食事会もですか」
「行われます」
そうだとだ。また十字に説明する十字だった。ただしだ。先生はここで十字にこう話したのだった。
「ただ。お食事会ではなくです」
「そうした呼び方ではないのですか」
「パーティーとされています」
「パーティーですか」
「その様にされています」
そうだというのだ。お食事会ではなくだ。
「呼び方は」
「そうですか。パーティーですか」
「佐藤君もそのパーティーに参加されますか」
「はい、それでは」
こう話してだった。彼も料理部が主催するそのパーティーに参加することを決めた。この話をしてだ。そしてそのうえでだ。描きながらまた言うのだった。
「楽しみにさせてもらいます」
「是非共。そうされて下さい」
「美食は主義ではないですが」
「美食はですか」
「神にお仕えするからには質素でなければなりません」
だからだというのだ。
「ですから美食はです」
「慎んでいます」
「そうなのですか」
「美食、贅沢は神に仕える者としては許されません」
これはまさにだ。神に仕える立場からの言葉だった。
「ですから慎んでいます」
「安心して下さい。学校の部活の料理ですから」
「美食ではないのですが」
「美味しく量も多いですが」
しかしそれでもだというのだ。
「粗食と言っていいです」
「そうですか。それでは」
「ではその時は」
先生は十字に笑顔で応えた。その先生にだ。
十字は絵を描き続けながらだ。今度はこんなことを言うのだった。
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