第二百五十二話 統一を経てその十
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「不愉快になるがな」
「こうはなるまいと思ってよね」
「いい経験になる」
「反面教師を知ることもね」
「だから馬鹿を見ることも勉強のうちだ」
反面教師を知るという意味でというのだ。
「いい経験だ」
「そういうことね」
「ただし実に不愉快だ」
このことは否定出来ないというのだ。
「只の馬鹿なら愛嬌もあるが」
「そこまでだとよね」
「こうはなるまいと思うのは気持ちいいものではない」
「こうなりたいと思うなら別ね」
「そうだからな」
それでというのだ。
「出来る限り会いたくない」
「そうした人とはね」
「どうせなら手本に出会い」
そうしてというのだ。
「正しく学びたい」
「それは誰もが思うことね」
「腐ったものを見るより美しいものを見た方がいい」
英雄はこうも言った。
「目にも心にもな」
「それが反面教師とお手本の違いね」
「まさにな、それでこの世界では神は起きた世界よりもはっきりと意識出来る」
「なら意識して」
「神託も伺う」
そちらもそうするというのだ。
「そして魔神を知る」
「そうするわね」
「一度伺えずともな」
例えそうであってもというのだ。
「そうする、それでいいな」
「ええ、いいと思うわ」
奈央もそれでいいと答えた。
「私もね」
「そうか」
「何でも用いるでしょ、幕府は」
「西の浮島の帝国も同じだがな」
「それならね」
「神託もだな」
「伺ってね」
そうしてというのだ。
「やっていくことよ」
「そういうことだな」
「ええ、ではね」
「本土に戻ってからだ」
「神託を伺うわね」
「朝廷に赴いてな」
その様にしてというのだ。
「行うぞ」
「ええ、わかったわ」
「では蝦夷の基盤を固めていく」
英雄は蝦夷そして浮島全土の統一を果たしてそれで満足してはいなかった、政は続けそのうえでだった。
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