第五話 愛の寓意その五
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「その二つをちゃんとしてこその武道家じゃない」
「それはそうだけれど」
「わかったわね。それじゃあ空手の方もね」
「わかってるよ。修業も今まで以上にするから」
「口だけじゃ駄目だからね」
「だからわかってるって」
猛は困った顔で雅のお説教に応えていた。そうしながらこの日は帰った。そうしてだ。
雅は次の日入塾試験を受けた。そうしてだ。
数日後猛にだ。明るい笑顔で語ったのだった。
猛の道場の稽古前だ。二人は準備体操でストレッチをしている。雅は身体を伸ばしながらそのうえでだ。アキレス腱を伸ばしている猛に言ったのである。
「塾のテストだけれどね」
「うん。どうだったの?」
「一緒のクラスになったわ」
笑顔でだ。こう猛に言ったのである。
「猛とね」
「あっ、じゃあ塾でも一緒なんだ」
「そうよ。一緒になれたから」
本当に明るい笑顔だった。心配が完全に消えた。
その笑顔のままでだ。猛に言うのである。
「同じクラスで勉強もね」
「頑張ろうね」
「勉強の方は互角だけれど」
それでもだとだ。雅は猛に話す。
「御互いに勉強し合えば成績もあがるわよ」
「切磋琢磨ってこと?」
「そう。それよ」
こう話す。そしてだ。
雅は手首のストレッチもはじめた。前と後ろにだ。手首を伸ばす。
そのうえでだ。彼女は話すのだった。
「八条大学に行くのよね」
「そのつもりだけれど」
所謂エスカレーターだ。だがそれでも勉強は必要だ。猛はそのことを忘れていなかった。
その猛にだ。雅は言った。
「それで法学部ね」
「弁護士になる訳でもないわよね」
「弁護士には興味がないよね」
「特にね。それに公務員にもね」
「興味ないわよね」
「うん。道場を継ぐからね」
「それでどうして法学部なの?」
少し怪訝な顔になってだ。雅は猛に尋ねた。
「そこがわからないけれど」
「法律に興味があるからね。とはいっても今は全然知らないけれど」
「法律のことは」
「これからだね。勉強するのはね」
「法律は知っておいたら力になるわね」
「そうだね。そのこともね」
こう話してだった。二人はだ。
空手をした。そちらは雅の圧勝だった。雅は満足の中で空手をした。そしてだ。
塾にも通いはじめた。そこでも猛と一緒だった。その塾の中でだ。
雅は十字を見た。彼は国公立の最上級のクラスに向かう。その彼を見てだ。
隣にいる猛にだ。こう言ったのだった。
「あの金髪の子って」
「あっ、転校生の」
「そうよね。確かイタリア人とのハーフの」
「佐藤君だったかな」
「佐藤十字っていったかしら」
その彼を
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ