アスターテ星域会戦C
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艦パトロクロス艦橋部の司令官席でヤンはそう言い放つと、すぐに艦橋に戻り艦隊運用を再開する。一方その通信は友軍第4艦隊と敵艦隊にも傍受されていた。
「ハハハッ、ついに出てきたかヤン・ウンェンリー!」
ラインハルトは嬉しげに笑うと、独語する。
「負けはしない、か。この期に及んでどう劣勢を覆すつもりだ。まあ、いい。このままでは我軍の損害も無視できない。キルヒアイス!」
「はい」
「戦列を組み直す。全艦隊に紡錘陣形を取るよう伝達してくれ。…理由はわかるな?」
「…中央突破をなさるおつもりですね。」
「ああ、そうだ。艦隊の再編を急がせろ」
「了解です」
こうして、帝国軍遠征軍は全艦艇が一糸乱れぬ動きで紡錘陣形を構築すると、同盟軍第2艦隊に向けて突進を開始した。
「敵艦隊、紡錘陣形を取って我が方に向かって急速に突撃してきます」
「成程、敵は中央突破を図る気だ」
「え!?中央突破?」
「ああ、やっこさんならそうするだろうな。さぁ、私はどう受けようかな」
ヤンは自然体でつぶやいた。
「でも先輩もしそうなったら、我々もただではすみません。それに、我が方は敵左翼に攻撃を仕掛けている最中ですよ?」
「そうだな。でもまあ、大丈夫だと思うけどね。……ん、これは……」
「敵が射程に入りました!」
「よし、反撃する」
同盟軍第2艦隊は帝国軍の接近に合わせて一斉に砲火を開き応戦を開始する。そして帝国遠征軍はそれに対して、前進しながら砲撃を行い、さらにミサイルも発射する。
「各艦に戦術コンピュータのC4回路を開くように通達してくれ」
「了解です」
第2艦隊分艦隊旗艦 戦艦アガートラム
「旗艦パトロクロスより入電、戦術コンピュータのC4回路を開け、との事です」
「うむ、直ちに実行せよ」
オペレーターの報告を受けて、分艦隊司令官フィッシャー准将は即座に指示を出す。そして、それを受け他の艦隊も順次C4回路を開いていく。すると、次の瞬間だった。
「な、これは…」
「敵の中央突破戦法に対する対抗戦術ではないか!」
フィッシャー准将以下の司令部要員たちは戦術コンピュータに表示された戦術に驚愕する。なぜなら、それは彼らの予想の斜め上をいくものだったからである。コンピュータのディスプレイには敵の中央突破に対抗する戦法が掛かれていたが、それは中央突破で引きちぎられたように見せかけて敵艦隊の後ろに回るというものだった。
「しかし、こんな奇策があるのか?……だが、他に手はないな。よし、全艦隊に通達、戦術の通りに動くぞ」
フィッシャー准将はそう言うと、指揮下の艦隊に命令を下すのだった。
一方第4艦隊でも
「代理指揮官殿、第2艦隊旗艦パトロクロスより入電、戦術コンピュータのC
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