第二章
[8]前話
「それでだったんだよ」
「それで私も応えてきたけれど」
「お前だけだしいいだろ」
「私だってあなただけよ、けれどね」
「してきたからか」
「この前遂にね」
「できたんだな」
「来てないのよ」
何がかは言うまでもなかった。
「そうなのよ」
「それじゃあか」
「ええ、結婚しましょう」
「学校にも話すか」
「校則で結婚したら駄目とか書いてないから大丈夫だしね」
顔を戻して満を見上げつつ答えた。
そしてだ、自分からそっと彼の手を取って話した。
「これからは許嫁じゃなくてね」
「夫婦か」
「そうなりましょう」
「それじゃあな」
満も美佳子の手を取った、そうしてだった。
二人はその日のうちに学校に事情を話してだった。
婚姻届も出して夫婦になった、美佳子は満の家に入って共に暮らしはじめた。だが。
一緒に暮らしはじめてすぐにだ、美佳子は満と彼の両親に妹達それに自分の両親と兄と弟に照れ臭い顔で話した。
「あれきたから」
「えっ、できたんじゃなかったのか」
「ただ遅れてただけだったわ」
夫となった満に俯いて話した。
「これがね」
「そうだったのかよ」
「御免なさい、あなたが結婚出来る様になって」
「できたと思ったからか」
「申し出たことだけれど」
それでもというのだ。
「子供はね」
「全く、はやとちりだったな」
「ええ、御免なさい」
「そうか、けれど子供は本気で作るつもりだし」
満は妻となった彼女に怒ることなく話した。
「どっちにしろ結婚することは決まってただろ」
「だからいいの」
「いいよ、じゃあこれからも」
「二人でなのね」
「暮らしていこう、夫婦として」
「有り難う、じゃあこれからもね」
「宜しくな」
満は笑顔で言った、二人の家族は話を聞いていて美佳子が妊娠していなかったことには驚いた。だが。
満の言葉でいいとした、そしてだった。
夫婦は同じ高校から同じ大学に通い卒業してだった。
共に就職してから暫くして男の子を授かった、許嫁出なくなった二人はそれからも幸せに暮らしていった。
許嫁でなくなって何になるか 完
2022・6・21
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