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イベリス
第五十六話 犬も太るのでその十三

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「もうね」
「まともな人は先生にならないの」
「皆が皆そうじゃないけれど」
「酷い先生が多いの」
「犯罪のお話が物凄く多いからよ」 
 他の職業に比べるとだ。
「ヤクザ屋さんはいつも警戒されてるけれど先生は違うし」
「昔は聖職者とか言われてたのよね」
「先生様と言われていたのよ」 
 そしてその職業だけで尊敬されていたのだ、職業で人格が決まる訳ではないがだ。
「そうだったのよ」
「そうよね」
「けれど悪いことをしても捕まらないから」
 隠蔽されてだ。
「だからね」
「酷い人が多くなって」
「今はそう言っていいのよ」
 いい鉄は釘にならない、いい人は学校の先生にならないとだ。
「暴力以外のこともやりたい放題だから」
「それで捕まらないから」
「だからよ」
 まさにその為にというのだ、母の言葉は真剣なものだった。
「こんな酷いことはないから」
「入らない間違って入ったら逃げるね」
「そうしなさいね」
「東京でもそんな先生いるのよね」
「何処でもいるわよ、ただ東京は遥かにましみたいよ」
 母はこうも言った。
「全国的に見てね」
「そうなのね」
「けれどいるにはいるから」
 だからだというのだ。
「そうした先生からはそうしてね」
「わかったわ、そうするわ」
 咲も母の言葉に頷いた。
「そうした先生と会ったらね」
「そうしてね、絶対に」
「そのことも気をつけるわ」
 モコのことと共にと言うのだった、そして彼女と母起きてきた父と共に朝ご飯を食べた。朝早く起きた日のことだった。


第五十六話   完


                   2022・3・23
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