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イベリス
第五十六話 犬も太るのでその七

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「猫はそこも注意しないとね」
「犬よりもなのね」
「犬はお散歩させたりドッグランに連れて行けばいいけれど」
「猫はお散歩しないわね」
「いや、最近リード付けてする人いるわ」
「そうなの」
「そうしたり猫は目の前の動くものに飛びつくし」
 これはネコ科の生きものの習性の一つだ、猫だけでなく虎も目の前で動くものには積極的に飛びつくのだ。
「それで遊びも兼ねて」
「猫じゃらし動かしたりするの」
「そうしたらいいのよ」
「そうよ、だからね」
 それでというのだ。
「猫も方法はあるのよ」
「成程ね」
「まあうちは今猫はいないけれどね」
「うち皆犬派だしね」
「猫も嫌いじゃないけれど」
 それでもというのだ。
「縁があったらあっちから来てくれるけれど」
「縁がないとなのね」
「来ないものだから」
 それでというのだ。
「来ないならね」
「仕方ないのね」
「そうなのよ」
「そう、まあ来たらね」
 猫がというのだ。
「その時は家族として迎えて」
「モコと一緒になのね」
「そうするわ」
「それじゃあね」
「しかしね」
 こうもだ、母は言った。
「本当に縁がないとね」
「来ないのね」
「そうよ、そんなものよ」
「犬も猫も」
「あと子供もね」
「子供もなの」
「結婚してね」 
 それでもというのだ。
「子供が欲しくてもよ」
「縁がないとなの」
「来ないのよ」
「絶対にできるとは限らないの」
「そう、それでね」
 娘にさらに話した。
「縁があったら何人もね」
「できるの」
「そうよ」
 そうしたものだというのだ。
「それが縁なのよ」
「そんなものなのね」
「子供は神様からの授かりものだともいうし」
 この言葉も出したのだった。
「だからね」
「縁があるかないか」
「そうよ、それで子供ができたら」
 その時はというのだ。
「その子供をね」
「大事に育てることね」
「モコにそうしているみたいにね」 
 同じ様にというのだ。
「そうしてあげるの、いいわね」
「わかったわ」
 咲も頷いて応えた。
「そうするわ」
「お願いね」
「ええ、ただね」
「どうしたの?」
「縁ってあるのね」
「あるわよ」
 返事は一言だった。
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