暁 〜小説投稿サイト〜
オズのホボ王子
第十一幕その十

[8]前話 [2]次話
「それで潮風もね」
「いいんだね」
「その香りもね」
「王女は好きなんだ」
「そうなの」 
 王子に笑顔で答えます。
「私はね」
「成程ね」
「それじゃあね」
「うん、泳ぎたくなったら」
「水着借りるわ」
 そうさせてもらうというのです。
「是非ね」
「それではね」
 こうしたお話もしました、そしてです。
 皆でこの日も気持ちよく眠りました、その翌朝リンキティンク王は起きると自分の玉座にボタンが座って寝ているのを見ました。
 それを見てです。皆に笑って言いました。
「ほっほっほ、寝ている間にじゃ」
「その間にですね」
「ボタンは自分の寝ている部屋から移動した」
「玉座にですね」
「また瞬間移動でな」 
 ボタンが寝ている間に起こるそれでというのです。
「そうしたのう」
「間違いありませんね」 
 王子もその通りだと頷きます。
「これは」
「そうであるな」
「うむ、これがじゃ」
 まさにというのです。
「この子の特質じゃ」
「寝ている間に何処かに移動している」
「その可能性があってな」
「何時そうなるかわからないですが」
「そうなってな」
 そうしてというのです。
「この様にじゃ」
「移動しますね」
「そうじゃ」
 まさにというのです。
「そして今回はじゃ」
「王様の玉座にですね」
「移動してな」
「寝ていますね」
「そういうことじゃ」
「じゃあ起こしますか」 
 王子は王様にこう申し出ました。
「玉座で寝ていることは」
「よくないか」
「玉座に座るのは王様です」
 この人だけだというのです。
「ですから」
「それでか」
「起きてもらって」
 そうしてというのです。
「どいてもらいましょう」
「ああ、それはよい」
 王様は王子に笑顔で応えました。
「これはわざとしておらん」
「寝ている間にですか」
「そうなったからのう」
「それで、ですか」
「よい、しかもわしは今この通りじゃ」
 自分の奇麗に剥げた頭も指差します。
「王冠を被っておる」
「王の証ですか」
「それもあってな」
 そうしてというのです。
「しかもわしがいいと言った」
「王様がですね」
「だからじゃ」
 それでというのです。
「いいのじゃ」
「そうですか」
「この子が起きるまでな、起きたらな」
 ボタン自身がというのです。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ