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展覧会の絵
第四話 インノケンティウス十世像その十
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「東大か京大だね。そこにだね」
「そうした大学にですか」
「行くかい?実際に」
「いえ、国立には興味はないです」
 もっと言えば日本の大学自体にだ。大学は既に卒業しているからだ。
「実は」
「あっ、そうなんだ」
「海外の大学に」
 そこにだというのだ。
「そこに行かせてもらおうと思っています」
「おいおい、そこまでなんだ」
「そう考えていますが」
「夢が大きいね。じゃあ今よりも頑張るんだね」
「そうなるでしょうか
「じゃあ頑張ってくれるかな」
 警備員も十字に笑顔で言う。彼の本心は知らないがだ。
 そのうえで彼の肩をぽんぽんと叩きだ。そして優しく声をかけたのである。
「上を目指してね」
「そうさせてもらいます」
「理事長さんも鼻高々だろうね」
 警備員は彼のことも話に出した。
「君みたいな塾生が入ってくれるとね」
「理事長ですか」
「うん、前に話したよね」
「この塾の創設者の長男さんの」
「本当は次男だけれどね。長男さんは八条大学で教授になったから」
「そうなのですか」
「まあその方は今は塾には関係ないから」
 だからだというのだ。
「僕もあまり知らないんだ。ただね」
「ただとは?」
「僕も理事長さんにはあまり御会いしてないんだよね」
 ここでだ。警備員はこんなことも話してきたのだった。
「実際のところはね」
「そうなのですか」
「そう。お車で塾に来られたらずっと十階におられて殆どそこから出られないんだ」
「最上階にですね」
「だから知らないんだよね。どういった方か知らないよ」
 つまりだ。全てが謎に包まれているというのだ。このことを話してからだった。
 警備員は十字にだ。こうも言ったのだった。
「まあ君は直々に呼ばれるかも知れないね」
「僕はですか」
「凄いからね。全教科殆ど満点で入るなんて」
 またしても入塾テストの話だった。
「それで海外の大学を目指すんだね」
「イタリアか何処かの」
「イタリアって凄いよ。海外を目指すなんてね」
 このことを純粋に讃える彼だった。警備員は十字を純粋に笑顔で迎えていた。
 十字はすぐにその最上級のクラスに入り塾の講義を受けた。その講義の内容も十字にとっては知っているものでありどうということはなかった。それよりもだった。
 彼は塾の講義が終わるとだ。すぐにだった。
 塾の周りを調べた。そこにはゲームセンターやコンビニが多くありだ。その中にはあまり柄のよくない面々もいた。そしてゲームセンターの二階にだ。
 彼等がいた。一川達だ。その彼等を見てだ。
 十字はすぐに物陰に隠れた。そしてそのうえで四人を見る。
 見れば今は
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