第二章
[8]前話
バースに告白しようとするとだ、青柳はこう言った。
「常識を言うけどな」
「常識イコール法律っすね、やっぱり犯罪は駄目っす」
「いや、法律と常識は違うからな」
青柳はそれは違うとした。
「法律は日本で絶対に守るものでな」
「常識は何っすか?」
「それぞれの場所で不文律で守るべきものだよ」
そうだと話した。
「それでサラリーマンはな」
「いつも先輩が言ってる様にっすか」
「ああ、ホストみたいな恰好じゃなくてな」
「俺タトゥー入れてないっすよ」
「ホストでもタトゥー入れたらまずいだろ」
「だからしてないっす」
「そんなの言うまでもなくてな、お前のその恰好とな」
それでというのだ。
「高校生みたいな喋り方はだよ」
「駄目っすか」
「そうだよ、自衛官の人達みたいにぴしっとしろとは言わないけれどな」
それでもというのだ。
「周りの人みたいにだよ」
「サラリーマンの標準スタイルじゃないと駄目っすか」
「ここは会社だからな」
それでというのだ。
「サラリーマンの場所だからな」
「バースさんに相応しい人ならっすか」
「そうだよ、サラリーマンの恰好と口調だよ」
「自己主張駄目っすか」
「それで告白して断られたいならいいけれどな」
「わかったっす」
ようやくという感じで頷いてだった。
西は次の日出勤するとだった。
黒髪でスポーツ刈りになってだった、アクセサリーも着けず。
口調も営業で他の会社の者と話す様にした、そうしてだった。
暫くそれで過ごして定着した時にいよいよバースに告白しようとしたが。
彼女はアメリカのオクラホマ支社に転勤となった、それで西は落胆しきって言った。
「世の中上手いかないですね」
「そうだよ、しかしな」
「しかし?」
「お前その方がいいぞ」
青柳はその彼の肩に手を当てて話した。
「外見と口調はな」
「そうですか」
「サラリーマンらしくてな」
そしてというのだ。
「似合っててな」
「そうですか」
「だからそのままいけよ、そうしたらな」
西に笑って話した。
「またいい縁あるさ、だからな」
「気を取り直してですね」
「頑張っていこうな」
「そうします、励まして有り難うございます」
西は青柳に礼を言ってだった。
仕事に向かった、そして翌年バース以上に好みのタイプの女性と取引先で出会ってそうしてだった。
交際まで至った、その上で幸せになったがもう彼はサラリーマン姿であり口調もそうだった。あのチャラチャラしたものは何処にもなかった。
純情チャラ男 完
2022・6・20
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