第二章
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いつもペットボトルのお茶を買って時々猫缶を買って来る客が来た、普段はくたびれたスーツ姿だが今はラフナスラックスとポロシャツという姿だ。
その姿でだ、リードを持っていて。
リードの先には猫がいた、上が黒下が白の八割れの猫だ。大きさは猫としては中位の大きさのもので。
客の方から挨拶をしてきた。
「おはようございます」
「おはようございます、その子は」
「はい、うちで飼っている子でして」
客は遊佐に優しい笑顔で話した。
「雄でコテツといいます」
「ニャア」
「元々保護猫で子猫の時にうちにきまして」
道を自分と一緒にてくてく歩いている猫を見つつ話した。
「もう十年になります」
「そうなんですか」
「いつもは家内が買って来るキャットフードを食べていますが」
「時々こちらで猫缶を買っておられますね」
「それをプレゼントにしています」
そうしているというのだ。
「月に一度の」
「そうだったんですね」
「もう十歳で猫としてはお爺さんになってきていて」
「人間で言うと六十歳位ですね」
「あと数年一緒にいられる位ですね」
こう遊佐に話した。
「ですが最後までです」
「一緒におられますか」
「家族ですから」
それ故にというのだ。
「そうします」
「そうですか、ではこれからもですね」
「はい、時々買わせてもらいます」
キャットフードをというのだ。
「そうさせて頂きます」
「それでは」
「また」
笑顔で挨拶をしてだった。
客はその猫、コテツという名の彼をだった。
連れてその場を後にした、その次の日には店でお茶を買った。そうしてまた猫缶を買う時があった。その時の客の顔はとても嬉しそうなのを遊佐は知った。
そしてだ、後輩にこんなことを言った。
「猫っていいよね、うちには犬がいるけれど」
「猫は猫で、ですね」
「うん、凄くいいね」
こう言うのだった、そして大学生活と店でのアルバイトに励むのだった。
時々のささやかやなプレゼント 完
2022・6・20
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