第六百六十一話 朝に思うことその十五
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「白米ばかり食しておるとな」
「それで、ですね」
「なるのじゃ」
「今でもですね」
「栄養のものじゃからな」
その為にというのだ。
「栄養が足りないとじゃ」
「何時でも誰でもなるんですね」
「そうしたものであるからな」
「僕達も白米ばかり食べているとですか」
「普通になるぞ」
脚気にというのだ。
「普通にな」
「当時の日本人だけじゃないんですね」
「そうじゃ」
博士はトーストを食べつつ答えた。
「それこそ普通にじゃ」
「なるんですね」
「これは他の病気もじゃ」
脚気に限らないというのだ。
「普通にじゃ」
「なりますね」
「左様、だから食べものの好き嫌いはってもな」
それでもというのだ。
「極端な偏食はじゃ」
「よくないんですね」
「そうじゃ」
こう野上君に話した。
「誰でもな」
「そうなんですね」
「まあ流石に今時白米だけ食する者はおらんな」
「普通にいないですね」
野上君もそれはと答えた。
「今時は」
「しかも今の白米は栄養の塊でな」
「色々なビタミンが沢山入っていますね」
品種改良の結果である、胚芽に米の栄養の殆どがあったのを品種改良で米全体に及ばせたのである。それも最初はなかった多くの栄養素もだ。
「そうなっていますね」
「それを食しておるからな」
「今は白米だけでもですね」
「脚気にならん、しかし白米だけで満足か」
博士はこのことも話した。
「人は」
「言い換えるとパンと水ばかりですね」
「それで満足出来るか」
「粗食どころじゃないですね」
野上君は即座に答えた。
「流石にそれは」
「無理じゃな」
「秋山好古さんじゃないんですから」
日露戦争で活躍した軍人である、騎兵隊を率いて活躍した。
「白米だけとか」
「あの御仁はそれと酒だけで過ごしておった」
「粗食なんてものじゃないですね」
「山縣有朋、桂太郎も蘇軾であったがな」
そのあまりもの粗食に見た者は驚いたという。
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