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八条学園騒動記
第六百六十一話 朝に思うことその十三

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「それがな」
「和食でお醤油がないんですね」
「それだけで違うな」
「はい、全く」
 野上君もその通りだと答えた。
「和食と言えばお醤油ですから」
「それがなくて味噌もじゃ」
 これもというのだ。
「非常に高価であった」
「それは聞いてましたが」
「味噌汁もなかった」
「和食の代表ですけれどね」
「それもなくてな」
 それでというのだ。
「残ったものを肴にして飲むこともあった」
「それは今も飲む人はしますね」
「そうじゃな、しかし味噌汁もなかったのじゃ」
 当時の和食にはというのだ。
「砂糖なぞ薬という位じゃ」
「室町時代の狂言にありましたね」
「水飴の場合もあるがな」
「ああしたお話になる位貴重でしたね」
「砂糖はな、尚それは黒砂糖でな」
 砂糖は砂糖でもというのだ。
「白砂糖ではなかった」
「そこも違いますね」
「まあ塩と酢位でどちらもふんだんには使えんかった」
「その二つも」
「まさに素材の味がそのまま出たな」
 そうしたというのだ。
「質素なものであった」
「そうなんですね」
「それが鎌倉時代の食事だった」
「今と全然違いますね」
「しかし美味かった」
 博士はシャンパンを口にしながら話した。
「実にな」
「そうだったんですね」
「強飯も獣等の肉もな」
「それで脚気にもならなかったですか」
「全くな、そうしたものを食して常に相撲や馬や弓矢や剣術で鍛えておったからな」 
 そうもしていてというのだ。
「鎌倉武士の身体は凄かったぞ」
「筋肉質だったんですね」
「仁王像じゃ」 
 東大寺のそれである、この寺はこの時代も存在しているが大仏は三代目のままでその姿を連合中に見せ続けている。
「あれは鎌倉武士の身体を見てじゃ」
「造ったんですか」
「モデルはそうであった」 
 鎌倉武士であったというのだ。
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