第二十五話 満足している姉その十三
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「もう今自分がホームレスになったのは」
「自分のせいじゃなくて」
「周りが悪いってね」
「ヒモニートで養ってくれた奥さんにも感謝しないで」
「預かってくれたお寺の人達にもね」
「誰にも感謝しないで」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「今頃はよ」
「何処かのテントかビニールかダンボールの中で暮らしているのね」
「残飯漁ってね」
「そうして生きていて」
「それでよ」
そのうえでというのだ。
「他の人をね」
「呪って生きてるのね」
「こんな人生嫌でしょ」
「絶対にね」
「それで幸せでもないでしょ」
「ホームレスってことでもそうでね」
そのうえでとだ、富美子は返した。
「その精神状況もね」
「こうはなりたくないわ」
「本当にそうよね」
「だからよ、感謝の気持ちはね」
「自分が幸せにもなるし」
「相手も喜んでくれてね」
そうなってというのだ。
「自分も皆も幸せになるから」
「そうあるべきね」
「そう思うわ、私は」
「お姉ちゃんの言う通りね、ただね」
富美子はここでこう言った。
「その元旦那さん感謝しなくてしかもヒモニートだったのよね」
「それでも尊大で図々しくて自分がこの世で一番偉いって思ってのよ。ちなみに運転免許以外の資格もないしどうでもいい感じの高校出ただけでお金もないわよ」
「全然駄目じゃない、何でそんな人になったのよ」
「母親に長男だからって甘やかされてよ」
「それでそうなったの」
「そう、滅茶苦茶にね」
「そう思うと甘やかされるのも不幸になるのね」
富美子はワインを飲みつつ呟いた。
「後々」
「そうね、厳しく躾けられるのもね」
「うちも怒られる時は怒られるしね」
「それも幸せになるってことね」
「甘やかされてそんなのにならない為にもね」
「そういうことね、わかったわ」
富美子は飲みつつ頷いた、そうして姉と二人で飲んでいった。飲んで一緒に幸せな気持ちを感じながら幸せについても話した夜だった。
第二十五話 完
2022・2・8
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