第二十五話 満足している姉その八
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「だから気をつけるわ、地獄に堕ちて幸せな筈ないしね」
「今生きている間じゃなくて」
「死んでからのことも考えて」
「そこまでの悪人にはならないのね」
「そうするわ」
こう妹に話した。
「そこまで堕ちたら人間とも言えないしね」
「腐れ外道って奴?」
「そう、それでそんな腐れ外道実際に会って好きになる?」
「なる筈ないでしょ、もう自然とね」
富美子はこれ以上はないまでに軽蔑した顔になって姉に述べた。
「軽蔑どころか憎むわ」
「誰だってそうなるわね」
「ええ、そんな悪事してそれでも他の人にあれこれ言うなんて」
それこそというのだ。
「言葉悪いけれどどの面下げてってね」
「思うわね」
「この恥知らずってね」
「まあ普通に怒って言うわね」
「それでその人大嫌いになるわ」
「そうならない方が不思議ね、それで嫌われたら」
美奈代はワインを一気に飲んで言った、かなり甘いワインだがそれでも今はその甘さよりも嫌悪が感じられた。
「不幸せでしょ」
「それだけでね」
「そうなるからね」
「嫌われて不幸せにならない為にも」
「今の人生でもね」
それでもというのだ。
「そこまでの悪人にならないことは大事よ」
「そういう理屈ね」
「ええ、ただ本当に根っからの悪人は恥も知らないから」
それでというのだ。
「嫌われて糾弾されてもね」
「平気なのね」
「ええ、訴えられないとね」
そうでもならないと、というのだ。
「全くね」
「平気なの」
「だって良心も羞恥心もないから」
その両方がというのだ。
「悪事はばれないと平気で」
「ばれても平気で」
「それで糾弾されても平気で」
「訴えられないと」
「そして訴えられてもね」
そうなってもというのだ。
「嘘吐き通して有罪にでもならないとよ」
「平気ね」
「それで有罪になっても平気な顔で知らない人騙すわ」
「本物の悪人ってそんなのなの」
「本当に嫌いになるでしょ」
「そんな奴が実際に目の前に出て来たらね」
富美子はサラミ一切れを丸ごと口の中に入れた、そうしてそれを口の中で何度もくちゃくちゃと?みながら述べた。
「ひっぱたくかもね」
「私も理性保つので必死かもね」
「そうなるのね、お姉ちゃんも」
「帰国事業に関わった連中でそうした態度だとね」
「ひっぱたきたくなるのね」
「それこそね、だからね」
それでというのだ。
「根っからの悪人はね」
「嫌われるのね」
「それで誰も嫌いな人に何もしないでしょ」
「そんな奴誰が助けるのよ」
これが富美子の返事だった。
「人間とすら見たくないわ」
「そうでしょ、困っても助けてもらえない」
「そうよね」
「それどころか何かあったら」
その時はというのだ。
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