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イベリス
第五十六話 犬も太るのでその四

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「それでよね」
「それから半年後にこの娘来てくれたでしょ」
「ええ」
「目が同じで仕草もそっくりでしょ」
「本当にね」
「だからよ」 
 そうしたところを見ればというのだ。
「犬の種族は違ってもね」
「柴犬とトイプードルでね」
「それでもなのよ」
「生まれ変わりなのね」
「またうちに来てくれたのよ」
「そうなのね」
「だからね」 
 それでというのだ。
「お母さんもお父さんも嬉しいのよ」
「うちにまた来てくれて」
「そうよ、生まれ変わりもあるのよ」
 これもというのだ。
「絶対にね」
「それ迷信じゃないのね」
「迷信?あんたそれ本気で思ってるの?」 
 母の言葉は本気だった。
「まさか」
「いや、それはね」
 咲は母の言葉いきなり変わったそれに驚いて返した。まさか母がここでこんな言葉を出すとは思わなかったからだ。
「違うけれど」
「そうなの?」
「ええ、けれど実際にあるのね」
「あるわよ、お母さんの知り合いの天理教の教会の人でもね」
「天理教?」
「その宗教のお話だけれどね」
「あの、私の学校天理教の学校だから」
 咲はすぐに母に言った。
「八条学園東京校で」
「あんたの学校の理事長さん天理教の人だしね」
「それで教義、天理教の授業もあるけれど」
「そこでも生まれ変わりあるでしょ」
「あるわ」
 その通りだとだ、咲も答えた。
「それで私も勉強してるけれど」
「仏教でもそうでね」
「天理教もよね」
「生まれ変わりってあるでしょ」
「その考えがね」
「それは本当よ、モコもね」
「生まれ変わってなのね」
「間違いないわ」
 このことはというのだ。
「もうね」
「そうなのね」
「私とお父さんはそう思ってるしあんたもでしょ」
「そう言われたら」
 咲も否定せずに答えた。
「やっぱりね」
「そうでしょ」
「モコは生まれ変わって」
「また私達の家族になってくれたのね」
「そうよ」
 その通りだというのだ。
「お母さんとお父さんが思うにね」
「ううん、そう言われたら私も」
「そう思うでしょ」
「ええ」
 まさにと答えた。
「そう言われるとね」
「生まれ変わりはあるのよ」
 また母が言った。
「やっぱりね」
「そうなのね」
「だからよ」
 それでというのだ。
「モコはこれからもね」
「大事にしていかないと駄目ね」
「生まれ変わってまでしてまた来てくれてね」
「家族になってくれたから」
「その気持ちに応えて」
 そうしてというのだ。
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