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展覧会の絵
第四話 インノケンティウス十世像その三
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できるよ」
「しかしそれ以外は」
「入られないけれどね」
 ありのままだ。警備員は十字に話していく。
「それはね」
「しかしそれでは」
「別にそれで誰も困ってないしね」
 警備員は特に困った顔も疑う顔も見せずに十字に述べた。
「まあ副理事長さんは入られたことはないそうだけれど」
「では他の方は」
「一郎さんや雪子さんはよく入られてるみたいだね」
 あの二人はだというのだ。
「あのご兄妹はね」
「そうなのですか」
「お二人は理事長さんのお気に入りでね」 
 肉親故だと。警備員は考えている口調だった。
「よくね」
「十階にですか」
「あのお二人は十階のことも知ってるよ」
 しかしだった。ここで警備員はこう言うのだった。
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