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展覧会の絵
第四話 インノケンティウス十世像その二
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字に自分からこう申し出たのだった。
「それでだけれど」
「はい、それで」
「この入り口の番は同僚に任せるからね」
 そうしてからだというのだ。
「この塾の中を案内しようか」
「そうして頂けますか」
「見学に来たんだよね、塾の」
「はい、そうです」
 そしてだ。警備員に塾の見学にあたっての一つの殺し文句も告げたのだった。
「それから入塾を考えさせてもらいます」
「それじゃあ余計にね」
「案内して頂けますか」
「そうさせてもらっていいかな」
「お願いします」
 無表情なのは変わらない。しかし声に僅かであるが頼み込むものを含ませた。その微妙なニュアンスにおいてだ。彼は警備員に言ったのである。
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