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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第68話 おかわり 
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目的の第二段階を達成した。若干の星系が未だ帝国軍の手にあるが、少なくとも一〇〇隻を超えるような部隊を維持できるような基地がある星系はない。星域内掃討作戦はまず補給と休養の後実施される、我々は『高をくくっていた』」

 しかし主攻方面である第四次イゼルローン攻略作戦の進捗は思わしくない。諸々の要因はあるが、主要因である補給妨害の除去を考えれば、攻略部隊の後方を扼するアスターテ星域駐留の帝国艦隊に対する予防攻勢がどうやら必要になる。

 本来であればアスターテ星域の帝国戦力は、助攻であるエル=ファシル星域へ向かうと想定していた。事前にドーリア星域の駐留部隊が牽制を行っていたとはいえ、エル=ファシルに駐留する三〇〇〇隻以上の駐留部隊を『見殺し』にするとは考えづらいからだ。

 しかし二四時間もせずしてエル=ファシル星系に駐留する帝国艦隊は壊滅した。『一万隻を超える大艦隊による攻勢』という救援要請が発せられた段階で、アスターテ星域駐留の帝国艦隊首脳部はエル=ファシル星系に同盟軍の大兵力がいると判断し、再々奪回を諦めたと思われる。

 故に詐術のような『エル=ファシルの霧』作戦が実施可能だったわけだが、同時にアスターテの現帝国戦力に『イゼルローン攻略部隊への妨害』という戦略方向性を確立させてしまった。

「君は覚えているかな。リンチ司令官が率いていた頃のエル=ファシル防衛艦隊の艦艇数はどのくらいだった?」
「……一〇〇〇隻前後、だったと思います。官舎で父がそう話していた記憶があります」
「今、このエル=ファシル星系に同盟軍戦闘艦艇は何隻いる?」
「正確にはわかりませんが、四〇〇〇隻前後かと」
「そこに正規艦隊の補給を行えるような巨大輸送艦が後方から分派されてきた。これは本来イゼルローン攻略作戦の為に確保されていた部隊だ」
「……つまり私達がエル=ファシル星系だけでなく、アスターテ星域まで攻略せよと命じられる、という事でしょうか?」
「確実ではなく可能性が高いというだけ。規模は攻略ではなく牽制程度になるだろう。上手く行き過ぎた故に得たくもない苦労を背負うことになってしまった、ということだろうね」

 泥縄という言葉よりひどい話だ。もしかしたらイゼルローン攻略部隊の参謀達は、こちらの作戦が『上手く行き過ぎた』ことを相当恨んでいるかもしれない。筋違いもいいところだ。

「エル=ファシル星域にある帝国軍の残存戦力掃討日程を進める必要があります。第八七〇九哨戒隊は乗員の移乗が終了次第、索敵哨戒に出動させましょう。苦労をかける事になりますが、彼ら以上の適任はいない」
 モンシャルマン参謀長はナプキンで丁寧に口を拭きながら言った。

「アスターテ星域の地理情報と現勢力情報を早急に入手する必要があります。ドーリア星域管区に問い合わせる必要
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