第68話 おかわり
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ァシルではあるが、いろいろな幸運もあって電撃的に星系制圧に成功した為、後方との連絡線は今のところ充分に確保されている。
一方でイゼルローン攻略作戦側は、準備期間が想定より長かったこと、複数の艦隊が出動することで情報が漏洩し帝国軍側が防備を整えていること、故に作戦の進行状況が遅れていることなどから、補給順序がめちゃくちゃになり、後方の大規模輸送艦部隊がエルゴン星域で足止めされてしまっている。
時間に余裕のある作戦であれば、ダゴン星域を足掛かりにアスターテ星域とヴァンフリート星域を制圧し、パランティア星域に威嚇戦力を並べた上で、ティアマト・ヴァンフリート両星域に根拠地を築いて腰を据えてイゼルローンを攻略すればいい。
だがシトレ・ロボス両中将の頭角もあってか、イゼルローン攻略作戦を指揮する現宇宙艦隊司令長官アクバル=リーブロンド元帥の改選に向けた焦りがそうしたのか、司令部は辛うじて支配圏優位を保っているティアマト星域から一気にイゼルローンへ強行突破する作戦を立てた。ティアマト星域の各星系における地上戦は相当激しく、空間戦闘は小戦力による強行偵察や補給線妨害程度でほとんどない。逆にアスターテ星域を策源地として補給路破壊が行われているらしく、ダゴン星域にまともな前線基地を作ることができていない。
故に機動性の優れた中型輸送艦部隊は重宝し、まったくない戦略輸送艦隊の一部は暇になった。前任が戦略輸送艦隊であったカステル中佐にイゼルローン攻略部隊側の泣きが入ったのかもしれないが。
「それでも主力はイゼルローン星域までは到達できるだろう。攻略が成功するかどうかは分からないが」
モンシャルマン参謀長は、ブライトウェル嬢が作ったガーリックトマトのラスクをポリポリ齧りながら言った。だがここで、呟いた参謀長本人も、片手間に端末を弄っていたモンティージャ中佐も、隠すことなく書類処理をしているカステル中佐も、目を瞑って舟を漕ぎそうになった爺様も、その横でブライトウェル嬢にお代わりを貰っていたファイフェルですら手が止まった
「あっ、あの……」
一瞬で白けつつも長閑だった司令部の空気が変貌したのを感じ、グラスポットを持ったままのブライトウェル嬢の視線が司令部全員に動き、最終的には俺に行きついた。それを感じ取った爺様が『嬢ちゃんに説明してやれ』と言わんばかりの視線を無言で俺に寄越す。
「まずグラスポットを置いてくれ、ブライトウェル」
そのままだと中身がファイフェルの手を赤く染めるようなヤバい傾きだったので指示すると、ブライトウェル嬢はワゴンにグラスポットを戻し、両手を腿に重ね直立不動の姿勢をとった。父親譲りの野趣溢れる鋭い視線が俺に向けられる。
「エル=ファシル星域攻略作戦は、定を大きく下回る期日と損害の無さで作戦
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