第百二十二話 闇、近付くのことその七
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「闇の者の心よ」
「そういうことだな。俺も于吉も人間の心はない」
そのことは左慈も言う。
「闇の者の心だからな」
「オロチ一族も常世の者達もなのね」
「その通りだ。俺達と同じだ」
「闇。いいものね」
司馬尉は己がいるその世界についても言及した。
「この世界が全てを覆うことはいいことよ」
「その通りだ。光は忌まわしいものだ」
「そして秩序も」
「そんなものはいらないわ」
司馬尉にとってはそうだった。そして左慈にとっても。
「ではあのかがり火を全て命の消える火にしましょう」
「そうするべきだな。しかしだ」
「油断はできないわね」
「ああ、奴等も手強い」
左慈も司馬尉もだった。油断してはいなかった。
それでだ。左慈も話す。
「それに俺達の敵もいるしな」
「あの無気味な男達ね」
「奴等はあらゆる次元の管理者だ」
そうした存在だというのだ。あの怪物達はだ。
「何かというとこれまで俺達の邪魔をしてくれた」
「しかしその彼等もね」
「ああ、倒す」
そうするとだ。左慈は言い切った。
「ここで決着をつけてやる」
「この世界はそうするとしてなのね」
「他の世界もか」
「そちらはどうするのかしら」
「さてな。まずはこの世界だ」
あらゆる世界があるがだ。まずはこの世界からだというのだ。
「この世界を渾沌に塗り替えてだ」
「そうしてよね」
「この世界の地盤を固めてからだな」
一気にとは考えていなかった。足場を築いてからだった。
「何かとするのはな」
「慎重ね。一歩一歩なんて」
「それはそちらもだな」
左慈は司馬尉の言葉をそのまま返してみせた。
「あんたの戦略っていうか。それも見事だぜ」
「私を誰だと思っているのかしら」
左慈に顔を向けてだ。司馬尉は自信に満ちた笑みを浮かべてみせた。
そうしてだった。こう言うのだった。
「私は名門司馬家の主であり九尾の狐の血を引く者よ」
「だからこそだな」
「闇の一族なのよ」
まさにその血故にだというのだ。
「この頭に自信はあるわ」
「だからこそ宮廷に入りだな」
「ええ、あの肉屋の女の信頼を得てね」
何進のことだった。彼女は今は宮廷からは退き肉屋に戻っている。
その彼女についてだ。司馬尉は侮蔑と共に話すのだった。
「軍師となり。そして乱を起こさせ」
「今に至るな」
「そういうことよ。私にはあらゆるものが見えているのよ」
「闇の中からはあらゆるものが見えるからな」
左慈はあくまで闇から見ていた。闇の者達として。
「光から闇は見えないがな」
「闇から光は見えるわ」
「それもよくな」
「そういうことね。さて」
「ああ、それじゃあな」
「オロチの二人はいけるかしら」
微笑みだ。司馬尉は于吉に尋ねた。
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