暁 〜小説投稿サイト〜
Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv69 イシュマリア魔導院
[5/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、シャールさんはそこで俺に微笑んだ。
「貴方……やるじゃない。しかも、なかなか切れ者のようね。あのアシュレイアとかいう魔物も、貴方の事が嫌になるわけだわ。さて……では謎も解けたところだし、もう1つの用事も済ます事にしましょうか。コータロー君……ちょっとここへ来てくれるかしら?」
 シャールさんはそう言って、書斎机の隣にある作業台の前を指さした。
 作業台には今、一抱えはありそうな大きな茶色い壺が置かれている。上部の方に蔦のような模様が幾つも施されているが、表面がざらついているので、あまり高級感はない。
 結構使い込まれているのか、ところどころにシミみたいなモノがある。まぁそんな感じの壺である。
 気になるところと言えば、壺の口に妙な黒い布が掛けられ、縄のようなモノで頑丈に縛られているところだろう。
 それ以外は、この国のどこにでもある素焼きの壺といった感じだ。
 俺は言われた通りそこに行くと、シャールさんは次の指示をしてきた。
「では、その壺の封を解いてくださるかしら?」
「はぁ……それは構いませんが、この壺は何なのです?」
「それを今から調べるのよ。さ、封を解いてちょうだい」
「わかりました」
 なんか釈然としなかったが、俺は言われた通り、縛られた縄を解いて黒い布を捲った。
 するとその直後であった。

【シャァァァ】

 奇声のような金切り声を上げ、壺が飛び跳ねたのである。
 壺は意思を持っているかのように高く飛び跳ね、床に着地した。
 そして暗闇が覆う壺の口に、サメのように鋭利な歯を沢山携えた赤い口と、黄色に光る眼が浮かび上がってきたのである。
 俺はそれを見た瞬間、ある魔物の名前が過ぎった。そう、ドラクエで定番のトラップモンスターである。
「こいつは悪魔の壺か……チッ」
 シャールさんの軽い声が聞こえてくる。
「あら……この壺、魔物だったのね。何かあると思ったのよ」
「シャールさん……一体この壺どこで手に入れたんですか?」
「どこって、ヴァロム様と貴方が閉じ込められていた地下牢の中よ」
「え!? 俺達がいたあの地下牢ですか、って!?」
 と、その時であった。
 悪魔の壺は近くにいるシャールさんに体当たりをかましてきたのである。
 俺は思わず、シャールさんを押し倒していた。
「危ない!」
「キャッ」
「どわぁぁ!」
 そして俺はシャールさんの代わりに、悪魔の壺の体当たりをモロに受け、フッ飛ばされたのであった。
 フッ飛ばされた俺は、壁際の本棚に激突した。
 まさに痛恨の一撃といった感じだ。
「イタタタ」
 俺はすぐに立ち上がり、身構える。
 悪魔の壺はピョンピョンと飛び回り、また作業台の上に着地した。
 すると次の瞬間、奴はあの嫌な呪文を唱えてきたのである。

【ケケケケ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ