Lv69 イシュマリア魔導院
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、シャールさんはそこで俺に微笑んだ。
「貴方……やるじゃない。しかも、なかなか切れ者のようね。あのアシュレイアとかいう魔物も、貴方の事が嫌になるわけだわ。さて……では謎も解けたところだし、もう1つの用事も済ます事にしましょうか。コータロー君……ちょっとここへ来てくれるかしら?」
シャールさんはそう言って、書斎机の隣にある作業台の前を指さした。
作業台には今、一抱えはありそうな大きな茶色い壺が置かれている。上部の方に蔦のような模様が幾つも施されているが、表面がざらついているので、あまり高級感はない。
結構使い込まれているのか、ところどころにシミみたいなモノがある。まぁそんな感じの壺である。
気になるところと言えば、壺の口に妙な黒い布が掛けられ、縄のようなモノで頑丈に縛られているところだろう。
それ以外は、この国のどこにでもある素焼きの壺といった感じだ。
俺は言われた通りそこに行くと、シャールさんは次の指示をしてきた。
「では、その壺の封を解いてくださるかしら?」
「はぁ……それは構いませんが、この壺は何なのです?」
「それを今から調べるのよ。さ、封を解いてちょうだい」
「わかりました」
なんか釈然としなかったが、俺は言われた通り、縛られた縄を解いて黒い布を捲った。
するとその直後であった。
【シャァァァ】
奇声のような金切り声を上げ、壺が飛び跳ねたのである。
壺は意思を持っているかのように高く飛び跳ね、床に着地した。
そして暗闇が覆う壺の口に、サメのように鋭利な歯を沢山携えた赤い口と、黄色に光る眼が浮かび上がってきたのである。
俺はそれを見た瞬間、ある魔物の名前が過ぎった。そう、ドラクエで定番のトラップモンスターである。
「こいつは悪魔の壺か……チッ」
シャールさんの軽い声が聞こえてくる。
「あら……この壺、魔物だったのね。何かあると思ったのよ」
「シャールさん……一体この壺どこで手に入れたんですか?」
「どこって、ヴァロム様と貴方が閉じ込められていた地下牢の中よ」
「え!? 俺達がいたあの地下牢ですか、って!?」
と、その時であった。
悪魔の壺は近くにいるシャールさんに体当たりをかましてきたのである。
俺は思わず、シャールさんを押し倒していた。
「危ない!」
「キャッ」
「どわぁぁ!」
そして俺はシャールさんの代わりに、悪魔の壺の体当たりをモロに受け、フッ飛ばされたのであった。
フッ飛ばされた俺は、壁際の本棚に激突した。
まさに痛恨の一撃といった感じだ。
「イタタタ」
俺はすぐに立ち上がり、身構える。
悪魔の壺はピョンピョンと飛び回り、また作業台の上に着地した。
すると次の瞬間、奴はあの嫌な呪文を唱えてきたのである。
【ケケケケ
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