Lv69 イシュマリア魔導院
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くして中から声が聞こえてきた。
「あら、ちょうど良かったわ。どうぞ、入ってくださる」
「では失礼します」
俺は扉を開いて中へと足を踏み入れた。
扉の向こうは、20畳くらいありそうな広さの四角い空間となっており、沢山の魔導器が置かれた棚や本棚が壁に並ぶ様相をしていた。それらに囲まれるようにシャールさんの座る書斎机が真ん中にあった。
書斎机の近くには作業台らしきものがあり、そこには大きな壺みたいなモノが置かれている。
また、その作業台の周囲や床にはフラスコみたいなモノや魔導器らしきモノが散乱しており、中は結構ごちゃごちゃした感じであった。
まぁはっきり言って汚い部屋である。
高級そうな部屋が台無しといった感じだ。
綺麗な女性なのに、整理整頓とは無縁のようである。
(お、おう……なんか知らんけど、どっかの大学の小汚い研究室って感じだな。まぁでも、天才肌の方らしいから、熱中しだすと他のことは気にならなくなるのだろう……たぶん)
室内を見回したところ、部屋にいるのはシャールさんだけのようであった。
ちなみにシャールさんは今、アシュレイアとの戦い時に着ていた赤いドレスのような法衣姿で、分厚い書物を手に持ち、壺を眺めているところであった。何かを調べている最中のようである。
まぁそれはさておき、俺は散乱している魔導器を踏まないよう、足の踏み場を探しながらシャールさんの前に行き、話を切り出した。
「ご苦労さまです、シャール様。色々と研究なさってるんですね。ところで、要件は何でしょうか? 先日は聞きたいことがあると仰っておられましたが……」
シャールさんは書物からゆっくりと顔を上げる。
そして、長いブロンドの髪をかき上げ、俺に麗しく微笑んだ。
「ウフフフ、待ってましたよ。ようやく、ゆっくりと話せそうですね」
お美しい方だが、ちょっと怖い笑顔であった。
たぶん、王子達の忠告が影響してるのだろう。
「そ、そうですかね。ナハハハハ……」
「さて……ではとりあえず、まずはこうしましょうか」
シャールさんはそう言うと、魔導の手を装備した右手を扉に向けたのである。
その直後、カチャリと鍵の掛かる音が室内に響いたのであった。
俺は思わず、後ろを振り返る。
すると扉付近には宙に浮く鍵らしきモノがあり、程なくしてシャールさんの手へと収まったのだ。
どうやら閉じ込められてしまったようである。
このいきなりの行動に、俺は思わず生唾を飲み込んだ。
「あ、あのぉ……シャール様、なぜ鍵を?」
シャールさんはそんな俺を見て、不敵に笑うと、優雅に足を組んだのであった。
逃がさんぞという雰囲気がありありと発せられているのは言うまでもない。
「ウフフフフ……さて、これで逃げられませんわよ。貴方には色々と訊きた
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