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冥王来訪
第三部 1979年
孤独な戦い
姿を現す闇の主 その1
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由陣営の拠点で、2000年来独立を保つ日本。 
彼等が自分たちの影響下から離れて、ソ連の影響下になるのは避けたい。
そういった理由もあって、今回の日ソ会談をつぶすことにしたのだ。
 
 日ソ会談をつぶすには、どうしたらよいのだろうか
MI6を統括する情報部長は、次のような行動に出た。
 まず手始めに、モルディブの政府機構を混乱させる。
そして駐留インド軍に潜り込ませたスパイを用いて反乱を起こさせる。
最後に、タミールイラムの虎をモルディブ近海に招き入れ、日ソの艦艇や戦術機を攻撃することにした。
 英国政府は、会談の地となったモルディブやインド亜大陸において、かつて植民地という権益を持っていた。
1947年のインド独立に際して、各地に『スリーパー』というスパイネットワークを残してきた。 
 スリーパーとは、眠るものという意味の英語である。
文字通り、目標となる時期が来るまで寝ているスパイの事である。
彼らは指定された時期が来るまでひたすら眠り、時期が来れば武装蜂起や破壊活動に従事する。
 英国情報部MI6は、日ソ会談に合わせて、作戦開始の暗号を打った。
『ガンジス川を渡る象』という写真広告を、インドの日刊紙『タイムズ・オブ・インディア』に掲載したのである。
 インド・モルディブ・セイロン(今日のスリランカ)・パキスタン・バングラディッシュ。
旧英領インドの同時破壊の指令を受けた、スリーパーたち。
彼等が、一斉に動き出すこととなったのだ!


 マレ島の近海に、謎の貨物船が現れたのは、その日の早朝だった。
貨物船は、モルディブの治安を害する存在かもしれない。 
大統領府は直ちに、調査を命じるも、すでに遅かった。
 不審船事件にモルディブ政府が全力を注いでいる内に、事件が起きた。
同時多発的に事件を起こした集団は、速やかに首都を支配下に収めた。
 首都を占拠した集団の手際は、実に鮮やかだった。
スリランカ船籍の謎の貨物船は、偽装であった。
別動隊が、空港や湾港に乗り込んでいたのだ。  
 キプロス航空の貨物機に偽装した飛行機は、50名の傭兵が乗り込んでいた。
既に前日から、外人旅行者を装った工作員200名が入り込んでいた。
彼らは、傭兵たちと合流する前に、主だった政府庁舎や、空港、港湾、放送局を昼前までに占拠した。
 500名しかいない国家保安隊は、そのすべてが即座に降伏してしまった。
その為に、昼前には、大統領と閣僚全員が、敵に捕縛される有様だった。 

 
 首都のあるマレ島で、クーデター事件が発生した。
隣の島にあるクルンバ・モルディブに、その知らせが届いたのは昼過ぎだった。
 事件の一報を聞いた警備大隊長のパウル・ラダビノット少佐は、即座にインド本国に連絡を入れた。
インド軍司令
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