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冥王来訪
第二部 1978年
ソ連の長い手
ミンスクハイヴ攻略 その6
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付く間もなく、室内に居たソ連兵は全て斃れた
後方を警戒しながら、マサキは室内に入る
ふと彼は、男に尋ねた
「なぜ、貴様は俺を助けた……」
男は、帽子のクラウンを左手で押さえながら、こう告げた
「任務だからさ……」
しばし唖然となる
「それより、君はここで私と無駄話をしに来たのではあるまい……」
ふと不敵の笑みを浮かべる
「それもそうだな」

 50インチ以上はあろうかという大画面モニターの有る室内
そこに複数並べられた操作盤に近づくと、彼は核ミサイルの発射設定を変更し始めた
キリル文字は分からなかったが、出鱈目に操作する
一通り荒した後、配電盤の電源を落とすと、ラジオペンチで配線を切る
持ってきた手榴弾を、操作盤内に設置すると部屋を後にした

 ドアを開けると既にKGBの制服を着た一団に囲まれていた
「武器を捨てろ」
その問いかけに鎧衣は応じ、静かに足元に機関銃を置く
マサキも、弾倉を抜き取り、M16を放る
カラシニコフ自動小銃を構えた男達の後ろから、軍服姿の老人が現れる
回転拳銃を片手に、無言のまま近寄ってくる
不敵の笑みを浮かべると、口を開いた
「東独の工作員より連絡を受け、我々は計画を立てた」

「参謀本部に誘い込み、襲撃現場を押さえる。
貴様には偽の核操作ボタンを破壊させ、我々がゼオライマーを無事に頂く」
KGB少将の階級章を付けた男が、脇よりしゃしゃり出て来る
「で、貴様もその男も殺す」
そう言うと後ろに振り返る
兵達は、銃を突きつけられ、驚くよりも早く銃弾を撃ち込まれる
ボロ・モーゼルと呼ばれる大型自動拳銃は、轟音を挙げながら火を噴いた
男達は脳天に一撃を喰らい、後ろ向きに勢いよく倒れ込む
白い床は撃ち殺された兵士達の血によって、瞬く間に赤く染まった
「我等の部下は何も知らない……この連中と君達は凄惨な銃撃戦の末、果てた」
マサキは、色眼鏡を掛けた老人を睨む
「貴様がKGB長官か」
老人は不敵の笑みを浮かべる
「御想像に任せよう」

「ガスパージン・木原、この人類最高の国家で最期を迎える。
本望であろう」
KBG少将は、彼を煽った
「ゼオライマーが存在する限り、君の名も伝説としてついて回る。
核を奪おうとして、KGBに撃ち殺された日本帝国陸軍の有能科学者としてね」

「末期の水の替りと言っては何だが、葉巻を吸わせてくれないかね」
そう鎧衣はKGB少将に問いかけた
「構わぬが……」
シガーカッターで葉巻を切ると、口に咥える
金属製のオイルライターを取り出すと、葉巻を炙る
出し抜けに、胸元を開けて見せた
 
 (はだ)けた胸元には、縦型に袋状になった前掛け
袋状の部分には、縦にダイナマイトが6本、均等に並べてある
「さあ、打ち給え。

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