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絶撃の浜風
外伝 大和編 01 大和の苦悩
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た大本営に飲み込まれ、約定を白紙に戻す機会が失われた

 建造システムの実用化と共に、艦娘は使い捨てにされ、それに異を唱えるかつての提督達は徐々に閑職へと追いやられ、その発言力も封殺されていったのである



 艦娘達の多くは、軍人主導の大本営のやり方に辟易していた。本音を言えば、戦争終結後は、もう大本営と関わりたくないとさえ思っていた

 だが、大本営は戦後の話し合いの場を持たなかった。大本営発足以前に交わされた約定の見直しを反古にされた形となっていた




 この事は、開戦当時から艦娘達と苦楽を共にしてきた提督達の心を・・・・・その生涯にわたって苛む事となった・・・・・・・・




 そしてこの事が、艦娘たちの心に深い怨嗟を刻むこととなったのである




 



 大本営と艦娘との関係は、かつてない程に冷え切っていた




 このままでは、艦娘達と大本営との対立は避けられないところまで来ていた


 大本営に敵対するという、本末転倒な流れを回避すべく、赤城達かつての第一機動部隊の四人は、大本営に対する一定の抑止力となるべく、大本営軍人処分に関する約定を交わそうとした。だが約定締結推進派であった当時の陸軍参謀総長、所謂幕僚長の爆殺による暗殺未遂事件が発生。幕僚長は瀕死の重傷を負い、約定締結の会談は中止された


 大本営と艦娘との対立を抑止すべく、約定を締結しようとしていた赤城であったが、この対応に憤慨した赤城は大本営に対しこう宣言した




【そういう事でしたらいいでしょう・・・今後は人類との共闘関係を解消し、一切の関りを絶つ、という事で】・・・・・と




 そして彼女は、艦娘たちを国内全ての鎮守府から撤収させた




 これに慌てた大本営・・・・いや陸軍参謀本部は幕僚長暗殺を企てた海軍軍令部総長を粛清しこれを排除、明石の施術によって死地から生還した幕僚長を担ぎ出し、約定締結の為の会談を再開しこれに合意、締結した



 一旦収束したかに見えた双方の対立であったが、陸軍参謀本部の思惑に反し、既に世界中の鎮守府に浸透していた軍人提督たちの体質が急に変るはずもなく、約定締結下でありながら相も変わらず艦娘達に非道な扱いを繰り返す鎮守府が後を絶たなかった。その結果彼らは赤城たちの逆鱗に触れ、約定に従い、これを《粛清》とまではいかないまでも、死んだ方がマシだと思う程度にはキツいお灸を据えられる事となった



 そしてその後のデウス・エクス・マキナの反乱から十数年の後に迎えた第二次深海棲艦戦争の時、ついに艦娘達の不満が一気に表面化する事になる



 人権を獲得した艦娘達の親族は、娘を戦場に送り出す事を頑なに拒否した。
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