第二十四話 あえて聞いたその十七
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「国が豊かになることもね」
「ないわね」
「軍隊にばかりお金を使ってもね」
「駄目よね」
「そこに将軍様の贅沢費も入るのよ」
それもというのだ。
「合せて予算の半分近くよ」
「将軍様の贅沢ね」
「軍隊はお金使っても出るばかりよ」
「武器買ったり造ったりで」
「そう、産業ならそれが育って利益を産んでね」
そうなってというのだ。
「返ってくるけれど」
「軍隊は違うのね」
「当然将軍様が贅沢をしてもね」
この場合もというのだ。
「出るだけでね」
「返ってこないわね」
「国家予算の半分近くが出るだけで」
ただそれだけでというのだ。
「何もならないのよ」
「それじゃあ国がよくなる筈がないわね」
「だから将軍様だけが太って」
それも丸々とだ、国民のほぼ全員が飢餓状態になっているというのに一人だけが太っている状態なのだ。
「皆ガリガリなのよ」
「それだけで嫌ね」
「だから戦争がない国に生まれてね」
「北朝鮮でないのなら」
「もうそれだけでね」
「かなり違うわね」
「そうよ、日本に生まれて幸せでしょ」
それだけでというのだ。
「あんたも」
「ええ、幸せよ」
かな恵は実際にと答えた。
「私もね」
「そうでしょ、幸せはそういうものでもあるってね」
その様にともいうのだ。
「覚えておいてね」
「そうするわね」
「そういうことでね、そして幸せならね」
自分がそうであるならというのだ。
「人にもおおらかになれるでしょ」
「その気持ちになるわね」
「でしょ?だから明男のそうしたことも」
「見て見ぬ振りね」
「そうしてあげなさい、いいわね」
「わかったわ」
かな恵は母の言葉に頷いた、この時から彼女は弟のそうしたことは実際に見て見ぬ振りをする様になった。前より幸せを実感しておおらかになったので。
第二十四話 完
2022・2・1
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