第二十四話 あえて聞いたその十六
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「あそこに生まれることは」
「お母さんもそう思うわ」
「そうよね、何か幸せって些細なもの?」
「北朝鮮に生まれないとか」
「あと戦争のない国に生まれることもね」
このこともというのだ。
「幸せだからね」
「ええ、戦争は誰だって嫌よ」
「そうよね」
「普通はね」
「じゃあ戦争がないことも」
「いいことでね」
それでというのだ。
「戦争がない国に生まれても」
「幸せよ」
「そうよね」
「内戦なんてしていたらね」
それならばというのだ。
「どれだけ大変か」
「そうした状況の国からも来てる子いるけれど」
かな恵は通っている学園のことをまた話した、今度は眉を曇らせてそのうえで母に対して語ったのだった。
「どの子も言ってるわ」
「大変だってでしょ」
「死にそうになったこともあるとか」
「そうでしょ、お母さんの時でもよ」
「そうした人いたのね」
「アフリカとかはね」
この地域はというのだ。
「まだ内戦あるでしょ」
「そうよね、アフリカはね」
「そうしたところに生まれたら」
「大変ね」
「それだけでね」
「北朝鮮に生まれても」
それでもというのだ。
「不幸でね」
「内戦のある国に生まれても」
「その場合もね」
どうしてもというのだ。
「不幸よ」
「そうよね」
「だからね」
それでというのだ。
「今の日本に生まれただけでもね」
「幸せよね」
「あんたの言う通りよ」
こう娘に言った。
「その通りよ」
「やっぱりそうね」
「幸せは何でもないことの様でね」
それでいてというのだ。
「かなり有り難いものよ」
「生まれる国でもそこまで違うし」
「お母さんだって北朝鮮には生まれたくないわよ」
母は顔を顰めさせてこう娘に返した。
「絶対にね」
「誰もが嫌よね」
「食べものなくて収容所にも何かあったら送られてで」
「いいことなんてないわね」
「そうよ、だからね」
「お母さんもよね」
「あの国に生まれたらそれだけで」
「不幸よね」
「あんなおかしな国はないから」
それ故にというのだ。
「皆餓えていてね」
「それで自由も一切ない」
「軍隊ばかり力を入れてね」
そうしてというのだ。
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