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絶撃の浜風
外伝 赤城編 05 佐世保沖海戦とティレニア海海戦(U)
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シロッコは単艦で前に出る



「15(海里)でいいんだよね?」


「ええ・・・でも無理はしないでね? 見つかったら、すぐに逃げて・・・いい?」


「うん」




 地中海の西・・・恐らくは深海棲艦が向かってきているであろう海域に向けて、シロッコはゆく



そして小一時間程して、通信が届く




【アクィラ〜・・・着いたよ〜・・・まだ誰もいないよ〜】


「Ben fatto・・・・後は打ち合わせ通り頼むわね?」


【うん、わかった】






「もうそろそろ第二警戒線を越える頃ですね・・・・それじゃ、始めますよ、ポーラ」



東の空から昇り始めた太陽を背にし、アクィラは艦載機を次々と発艦させた





 だが奇妙な事に、その艦載機の中には艦戦はおろか、艦攻や艦爆が、ただの一機もなかった。その全てが、彩雲と二式艦上偵察機で占められていた






 双方合わせて66機に及ぶ偵察機の編隊が、地中海に沿って西の海域へと飛び立っていった












(2021年11月6日 執筆)



 その頃、赤城率いる第一機動部隊は、既に駿河湾を後にし、紀伊半島の南方の海域を航行中であった。時刻は正午を回っていた



 機動部隊総旗艦は赤城である。その元で各鎮守府や艦娘との折衝は某鎮守府の大淀が、機動部隊の直接的な指揮は、この二年間秘書官として某鎮守府の実質的な運営を取り仕切っていた妙高がその任に付いていた



「報告します」


 定時連絡の報告を受け、妙高は現在の深海棲艦軍の動向を説明する


 昨夜のうちに秋津洲から発艦した三機の二式大艇は鹿屋基地でCatalinaと合流した後、夜明けと共に発進。南西諸島沖に六本の索敵線を展開した。そして0730に秋津洲2号機が敵深海棲艦の艦影を捉え、以後、触接を続けていた



「現在、深海棲艦はマルヒトマルマルより沖縄本島近海から針路を変え、南西諸島海域をゆっくりと北上を始めたようです。やはり狙いは本土でしょうか・・・・佐世保か岩國・・・或いは・・・・・」


「敵が陽動狙いならこちらの注意を引きつけている今が、仕掛け時でしょうね・・・・」


殆ど直感的に、赤城はそう言い放つ


「現状、私たちは南西諸島方面の深海棲艦軍に対処せざるを得ません・・・・これは、大きな戦いになるかも知れません」


「いえ、まだ陽動と決まったわけでは・・・・」


 少しの迷いもなく次々と推論を立てていく赤城・・・・実の所、妙高もその可能性はあるとは思いつつ、流石に赤城のそれは早計に過ぎると感じていた



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