第百二十話 于吉、埋伏を作らんとするのことその三
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すぐにだ。全軍に告げた。
「陸地も見て!」
「わかったのだ!」
張飛がすぐに向かう。連合軍は陣の外側全体にも警戒の目を向けた。
外への目は万全だった。だがその隙にだ。陣の端からだ。
ミヅキとゲーニッツは入り込んだ。水から出てそこに入った。
陣の中に入りだ。ゲーニッツは不敵な笑みでミヅキに話した。
「ここまでは上手にいきましたね」
「そうね。司馬尉はよくやってくれているわ」
実際に戦闘に入りその指揮を執る司馬尉の船を見ながらだ。ミヅキも言う。
「お陰でこうしてね」
「楽に忍び込めましたね」
「連合軍の目は川の船団と陣の外の陸地に向けられているわ」
「川の船団のいない場所は」
そこはなのだった誰も。
「そしてです。中はさらにですね」
「誰も見ていないわ」
「人は集中する生き物です」
そこをだ。衝いたのだった。
「一方を見れば他の方角がおろそかになります」
「そういうことね。それではね」
「では彼女のところに向かいましょう」
ゲーニッツは楽しげに笑ってだ。ミヅキと共に敵陣の中を進む。誰もが陣の外や船団を見てだ。彼等には全く気付かなかった。
しかしだ。ここでふとだ。周瑜が言った。
「そういえば」
「あれっ、何かあったの?」
「ええ。陣の外は見ているけれど」
こうだ。怪訝な顔になって孫策に話す。
「中は」
「そういえばね。皆中は見ていないわね」
「兵が粗相をして火事にでもなったらことだわ」
このことに気付いたのである。それでだった。
「中を見回る者も出しましょう」
「そうね。それじゃあ」
ここでだ。孫策は傍にいたハイデルン達にこう告げた。咄嗟にだ。
「ええと。中の見回りをお願いできるかしら」
「火事や喧嘩があるかどうかだな」
「ええ。頼むわ」
こうハイデルンに言う。
「中をね」
「わかった。それではだ」
「任せてもらおう」
タクマも応えてだ。彼等は陣中の見回りに出た。
ハイデルン、タクマに柴舟だ。この三人が兵達を連れて陣中を見回りだした。その頃だ。
ゲーニッツとミヅキはだ。レオナのところに近付いた。彼女は丁度ウィップと共にいた。しかしそのウィップのところにラルフとクラークが来て言った。
「おい、ちょっといいか?」
「来てくれるか?」
「何かあったのですか」
「ああ、予備ってことでな」
「船に乗ってくれるか?」
ラルフとクラークはこうウィップに話す。
「俺達と一緒にな」
「そうしてくれるか」
「わかりました」
ウィップは敬礼と共に二人に応えた。軍人らしくキビキビとした動作でだ。
「では今から」
「レオナはここに残っていてくれ」
「待機ってことでな」
「はい」
レオナも二人に敬礼で応える。
「それではここで」
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