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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第二章:空に手を伸ばすこと その四
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た穴から角に短剣をつけて尻尾にたいまつをつけた多量の牛を放った。尻を焼かれた牛は怒り狂い、敵陣を混乱に陥れると城に篭っていた自分達も出撃、包囲陣を見事突き崩し敵将も討ち取ったという」
「なるほど・・・・・・火刑か。悪くは無い」

 遥か昔の中国の戦国時代における田単の火牛の計をなぞったそれは、現状を一気に逆転させるのには悪くない手段である。まして相手が農民上がりの賊軍となれば、一気に燃え盛る火を見るだけで恐慌状態となるであろう。
 朱儁は獰猛な笑みを浮かべて皇甫嵩の言葉に賛同する。皇甫嵩もまたこれまでの屈辱を晴らさんとばかりに戦意を燃やしている。長社に包まれる戦場の霧は、一気に晴れようとしていた。




第二章:空に手を伸ばすこと その四





 曹操軍が進軍を続けていくと、先に放っておいた斥候が息を切らして報告してきた。曰く、長社は包囲されており、賊軍の数は数万を優に越えるとのこと。彼我の戦力差が十倍以上もあると知った荀ケは曹操に対し、こう告げる。
 
 「通常の野戦では数の暴力により自軍が飲み込まれます。ですから、夜に紛れて敵軍を奇襲すべきでしょう」
  
 曹操はこれに特段の異を唱えずに採用。軍の前線に夏候惇と夏候淵を配置して機会を見て襲撃をかける心構えでいた。仁ノ助と錘琳は両名それぞれの軍に組み込まれており、仁ノ助は突撃隊の最前線にて夏候惇のすぐ後ろから敵陣に切り込むこととなっている。錘琳は武芸に通じていなくは無いがそれでも馬上槍をするにはまだ実力に不安が残るため、第一陣が切り込んだ後に夏候淵と共に第二陣として切り込むこととなった。なお、錘琳の陣営配置には軍師荀ケの猛烈な推薦があったことを補足しておく。余程近くに置かれると嫌だったんだろうな。
 長社に着くまでは後半日もかからない距離まで彼は来ている。到着するころにはかなり夜も更けているだろう。到着直後から夏候惇率いる第一陣と共に突撃する事になりそうだ。その間まで、彼は自らの戦意の構築に勤める事としている。

「お前の剣は随分珍しい形をしているな」

 自分の隣に馬を寄せて男が聞いてくる。
 夏候惇の副官でもあり、実年齢よりも五つも六つも若く見える男は興味津々といった感じで、仁ノ助の腰に差されたクレイモアに目を向ける。
 彼の名は曹仁といい、同じ『仁』の文字を持つ仁ノ助に親しみを寄せている。仁ノ助もそれには満更でもない様子であり、曹仁の興味に火をかけるように鞘からクレイモアを抜いた。

「ほぉおおお・・・・・・」

 感嘆の声を上げて曹仁は無骨に光る刀身を見つめる。若々しい反応に笑みが毀れてつい口が饒舌となってしまう。

「双手剣の部類では意外と軽いほうでな、片手でも充分に振れるもんだ」
「十字に交わされた剣というのは見たことが無
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