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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
第百二十話 于吉、埋伏を作らんとするのことその一
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                          第百二十話  于吉、埋伏を作らんとするのこと
 またしてもだ。于吉は企んでいた。彼は闇の中で同志達に話していた。
「そろそろ戦いですが」
「ようやくだな」
 彼に左慈が応える。
「全く。あの妖怪共もやってくれた」
「はい。ですがようやく戦力の建て直しができ」
「そして陣も船もな」
「整いました。それならです」
「攻めるか」
「はい、ですがその前にです」
 ここでだ。彼は言うのだった。
「彼等に仕掛けたいのですが」
「おいおい、またか」
 グリザリッドは于吉のその言葉に苦笑いで言った。
「またそうするのか」
「はい。そう考えているのですが」
「懲りないな。全く」
「戦いを楽しむことも必要だと思いますが」
「いつも通りか」
「はい、いつも通りです」
 そうだとだ。于吉は余裕の笑みでグリザリッドに話す。
「そうしようと考えていますが」
「具体的にはどうするつもりだ?」
「内応する者を作ろうと考えています」
「いや、それはどうだろうな」
「かなり難しいと思うが」
 グリザリッドだけでなくセスも疑問の言葉を出す。
「向こうは俺達と完全に敵対する奴ばかりだ」
「それで内応する者を作るというのはだ」
「難しい、いや不可能じゃないのか?」
「そう思うが」
「まあいちいち名前を挙げなくてもいいだろう」
「こちらの世界の人間も我々の世界の人間もだ」
 どちらの世界の者達もだとだ。ネスツの二人は言う。
「誰一人として無理だろうな」
「不可能と言ってもいい」
「いえ、います」
 しかしだ。于吉は自信に満ちた声でこう言ってだ。
 そのうえでだ。オロチの面々を見て言うのだった。
「そうですね」
「そういうことね」
 シェルミーがその于吉の言葉にだ。楽しげに笑って応えてきた。
「私達の血を使うのね」
「そうです。八神庵は無理でしょうが」
「あの男はこちらからお断りだ」
 社は于吉にすぐにこう返した。
「あの血が暴走すると俺達にも来るからな」
「それで私達は一度死んだわ」
「血の暴走に巻き込まれてね」
 そうなったとだ。バイスとマチュアが話す。
「あの男はオロチの血よりも神器の血が強いわ」
「それが影響してかえって悪いのよ」
「はい、私も彼についてはそう思います」
 于吉もだ。八神についてはそう見ていた。
 それでだ。彼についてはこう断定したのだった。
「彼は絶対に仕掛けません」
「それがいいね。若し仕掛けたらね」
 クリスもそのことについて言う。
「かえって僕達に来るからね」
「ですから彼ではなくです」
「あいつだな」
 社は于吉の言葉にあるものをここで察した。
 そうしてだ。こう言ってにやりと笑ったのである。

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