第10話 魔女狩りを狩る者
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て何より、経済を支配できる」
「経済?」
「えぇ。国にとって経済活動は命とも言える。それを支配する人間に刃向かう事なんかできないわ。商売が成り立たなきゃ、税も徴収できない。そんな事じゃ国が倒れるでしょ?」
くすくす笑う私を尻目に、ぽかんとするエヴァ。
うん・・・呆けた顔も可愛い。
「もちろん今までのように、旅をしながら撃退でも構わない。うざったいだけで手間はそんなにかからないから。だから今エヴァに問いたいのは1つ・・・・・理不尽な暴力を、理不尽な力で駆逐する気はある?」
「・・・」
「これは明確に、自分の意志で殺しに行くと言う事。目的は3つ。財力を得るための足がかり・囚われた女性の解放・下衆共への鉄槌。」
「・・・」
「分かっているとは思うけど、女性の解放ははっきり言えばついでよ。同じ女として怒りを覚えるけれど、あくまで赤の他人。その程度よ。下衆共への鉄槌も私怨とかのようなもの。腹が立つから叩き潰す、それだけよ」
そこまで話すと私は言葉を切り、じっとエヴァを見つめる。
文字通り、原作とのターニングポントと言えるわ。
原作のエヴァは、襲ってくる奴らは殺した。つまり正当防衛の範囲で降りかかる火の粉を払っていた。
なのに賞金首として追われ、悪のレッテルを張られた。
それでもなお、女子供には手を出さず、弱者もいたぶらない、誇り高き悪の魔法使いとして君臨していた。
エヴァが誇り高いのは変わらない。攻勢に出るか否かの違いだ。
まぁ、どんな決断にしろ、共に在るのは変わりないのだけど。
そう考えながら見つめていると、エヴァは顔を上げ、正面から私を見つめながら口を開く。
「・・・やろう」
その視線は揺るぎなく、真っ直ぐに私を射ぬく。
「私達にも大きな利点がある。全ての女を救うなどとふざけた事を言うつもりはないが、ついでに助けるくらいはいいだろう。それに・・・」
そこで言葉を切ったエヴァは、おもむろに笑みを浮かべる。
「多くの下衆共に、私達に敵対する事の愚かしさを早めに教えてやるのもいいだろう」
くすくすと、無邪気に、妖艶に、凄絶に微笑むエヴァ。
見惚れていた私は、気づけばエヴァを抱き寄せ口づけていた。
一瞬回りの事を考え体を強張らせたエヴァだが、魔法で外には普通に話しているように映っている事を思い出すと、身を任せる。
ぴちゃぴちゃと音を響かせ、舌を絡ませ、唾液をすする。
ワインとエヴァの味が混ざったそれを楽しむと、今度は私が流し込みエヴァが啜る。
ひとしきり楽しみ落ち着けば、互いにグラスを満たし掲げる。
「私達は自身と自身の大切な者のために生きる」
「そのために力を行使する」
2人で誓いの言葉を囁
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