第10話 魔女狩りを狩る者
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ろう。
初めて出会ったときに居たローブの下衆と、追従した下衆共。
あのローブ男がこちら側の関係者だろうと、あちら側のただの司祭だろうと本質とは関係ない。
一方的な決め付け、自らを正義と語り、暴力で蹂躙する。
「なぜ、今それを探った?」
問いかけてきたエヴァに、私は正面から答える。
「私はこの状況を利用できると考えているわ」
「利用?」
「教会に喧嘩を売る事で、その財産のいくらかを今度は私達が徴収する」
「なに!」
私の回答に驚いたエヴァが声を荒げる。
注目を浴びそうになるので、視線で抑える。
気づいたエヴァはすぐに口をつぐみ、ワインを一口飲み心を落ち着ける。
「なぜそんなことを?」
落ち着いたエヴァが静かに尋ねる。
ローマ・カトリック教会と言えば、世界で最も多い信者を誇るキリスト教の中でも最大の派閥。
現在他の流派が生まれているかどうかは知らないが、ヨーロッパでも最大の勢力を誇る組織であるのは間違いない。
だからこそ、わざわざこちらから喧嘩を売る必要性をエヴァは疑問に感じている。
「私達は遅かれ早かれ教会に目を付けられるわ」
「教会に?」
「私達はこの10年で既に、賊や魔法使い共を手にかけている。恐らくそう遠くないうちに、魔法世界では私達に懸賞金が掛けられるわ」
「!それが教会側に流される・・・と言う事か」
「人ならざる存在に加え強大な力、魔法世界の下衆共は手段を選ばないでしょう。教会側への理由も、本当に魔女だからとでも言えば済む話。仮に渋ったとしても金を渡せば通る程度には腐っているでしょう。私達は2つの世界から追われることになる」
「・・・」
「正直それでどうにかなるつもりなんて私には更々ないし、ましてエヴァには指一本どころか爪の先すら触れさせない」
真正面から真面目に告げれば、再び顔を染めてくれる愛しい恋人。
我慢の出来なくなった私は、テーブルの上のエヴァの手を握り、感触を楽しみながら話を続ける。
「狙われたところで叩き潰せばいい。ただ問題は、襲ってくる連中を叩き潰しても問題は解決しない。次が来るだけだもの。そんなのうざったくてしょうがないわ」
「・・・まさか」
「そう。必要ならばその組織ごと叩き潰せるだけの、あるいはこちらを恐れ手出しができないだけの力を持てばいい」
にっこり微笑みながら告げれば、エヴァは苦笑を浮かべる。
「話を最初に戻すわ。どうせ後で敵対するなら、こちらから喧嘩を売って教会が溜めこんでいる財産を奪う。その財産を元手に私の未来知識と一緒に運用して、さらに巨大な財力を得る。」
「・・・」
「財力があれば、地位や権力を手に入れるのは容易いわ。そし
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