第10話 魔女狩りを狩る者
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おごりよ。足りなきゃこれで」
私はそう言いながら、財布から硬貨を何枚か出す。
「いや、こっちだけで十分だ」
マスターは苦笑しつつ私のお金を戻させると、奢りの1杯の準備を始めた。
席に戻るとグラスを手に取り、酒場に視線を向けて笑みを浮かべながら掲げる。
そこかしこからグラスが掲げられると、再び喧騒が戻り出す。
もっとも、此方に向かうぶしつけな視線は一切消えたが。
それでも念には念を入れ、認識阻害と防音の障壁を張る。
「それで?知識の確認とは?」
まるで何も無かったかのように会話を再開するエヴァ。
「少しは手伝ってくれても良かったんじゃない?」
「私に手を出されそうになって、シルヴィアが何もしないわけがないだろ?なら私は安心して酒を飲んでいれば十分さ」
さらりと当然の真理の如く話すエヴァ。
まぁ、事実そうなのだけど。それでもなんとなく悔しいので、体を寄せて耳元で囁く。
「それはもちろんそうよ。エヴァの全ては私のものだもの」
「!まっ、まぁな/////」
一瞬で耳まで顔を真っ赤にしたのは決してお酒のせいではないはず。
そんな照れたエヴァの様子をしばらく楽しむと、気を引き締め本題に入る。
「ローマ・カトリック教会が、魔女狩りを再び行い始めたそうよ」
魔女狩り。
魔女と疑われた女性(男性もごく少数いたとか)を拷問にかけ、魔女だと自白させ、火炙りの刑に処すと言う残虐行為。
カトリック教会主導、住民の集団ヒステリーなど諸説あるそれは、教会関係者の欲望を満たすためだったと言う説もある。
最初は12世紀ごろに行われ、一旦姿を消すも現在の15世紀ごろから再び行われ始め、16・17世紀が最盛期だったと聞く。
前世の事実がどうかはわからないが、この世界においてはほぼその通りらしい。
教会に睨まれた女性は連行され、暴力的・性的拷問を受けて自白を強要される。
自白したら最後、待っているのは火炙りで処刑。
女の財産はすべて没収。家族や恋人など抵抗した者も処刑し、同じく財産を没収する。
教会は更に、その事実と力を前面に押し出すことで、影響下にある町や村からの搾取も始めているというテンプレな内容。
色欲に金銭欲、支配欲を満たす行為。
トップの教皇か、その周りを固める枢機卿か。地方を束ねる司教か、各町や村にある教会を治める司祭か。
どのレベルまでが関与しているのかは知らないけど・・・。
神の名を盾に好き勝手暴れまわる・・・文字通りの下衆共。
私の知識と、先ほどマスターから得た情報を伝えると、エヴァの目にも怒りの炎が灯っている。
彼女の場合、さらに思うところがあるだ
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