第二十四話 あえて聞いたその六
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「そうだったでしょ」
「中一の時にね」
「これは恥ずかしいとかじゃなくて」
そうではなくというのだ。
「必要なことだからよ」
「勉強しないと駄目なの」
「大変なことになるかも知れないのはあんただからね」
そうした知識がなくてというのだ。
「だからよ」
「そうした本も読んで」
「知っておくことよ。ちゃんと頭に入れてるわね」
「コンドームとかペッサリーとかね」
実際にとだ、かな恵は母に答えた。
「ピルとか避妊リングもね」
「わかってるわね」
「あと体温も測ってるわ」
それもしているとだ、また母に答えた。
「そうしてるわ」
「気をつけてね、特にコンドームはよ」
「覚えておくことね」
「あれが一番よく使う避妊の方法だからね」
「男の子に付けてもらうのね」
「しかもあれを付けてるとね」
そうして行為に及べばというのだ。
「性病も防げるから」
「余計にいいのね」
「そうよ、性病になったら」
それこそというのだ。
「妊娠も大変だけれど」
「性病もよね」
「大変だから」
それでというのだ。
「充分以上に気をつけないといけないからね」
「性病のことも勉強して」
「コンドームはね」
「付けてもらうことね」
「絶対にね、さもないとよ」
「妊娠しなくても」
「性病にも感染する恐れがあるから」
それ故にというのだ。
「注意してね」
「わかったわ、私も勉強したけれど」
性病のことをだ、もっと言えば避妊のこともそうしている。かな恵自身こうしたことは覚えておかねばならないと思い母に言われて熱心に勉強した時期があったのだ。
「性病って怖いわね」
「そうでしょ」
「エイズが有名だけれど」
「エイズなんてましよ」
「梅毒に比べたら」
「あのね、梅毒になったらよ」
母はこの病気のことを真剣に話した。
「鼻が落ちるし身体ボロボロになるのよ」
「そうして死ぬのよね」
「頭もおかしくなるわよ」
「頭に梅毒菌が感染して」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「発狂してその中で死ぬのよ」
「狂死ね」
「そうなった人もいるのよ」
実際にだ、哲学者のニーチェがそうであったらしく彼は奇怪な文章の手紙を書いたり奇行を繰り返し最後は知能を喪失し精神病院で亡くなっている。
「世の中はね」
「だからエイズよりもね」
「梅毒は怖いのね」
「身体がボロボロになっておかしくなって死にたくないでしょ」
「絶対にね」
「今は治るけれど」
ペニシリンがあるからだ、それまでは不治の病であった。
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