第三部 1979年
孤独な戦い
月面降下作戦 その2
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した機体で、背中に大きな羽のような物がついている。
「木原め、戦術機まで引き連れてきたとは……」
マサキはソ連を恐れるあまり、2台のゼオライマーの他に、護衛を準備していた。
A-10サンダーボルトU、F−4ファントムを、それぞれ一基づつ従えていた。
ハバロフスクを一瞬で消滅させたことを知るソ連外交団の顔色は冴えなかった。
マレ国際空港からクルンバ・モルディブに日本外交団は30分もしないで来た。
スピードボートで、即座に乗り付けてきたのだ。
日本外交団の長である御剣は、口を開くなり、驚くべきことを提案した。
これには、さしものマサキも苦笑するばかりであった。
「話し合いが終わるまで、ソ連側から二名の人間を預かりたい」
参謀総長の怒りは、いうまでもないこと。
「人質だと!そんな話は聞いておらんぞ」
副官のロゴフスキー中尉はむっとして、腰に付けた拳銃に手をかけた。
彩峰も、彼に対して、あわや剣を抜こうとした。
「情けを加えれば情けに慣れて、身のほどもわきまえずにどこまでもツケ上がりおって!」
戦術機隊の隊長を務めるグルジア人の大尉は、口を極めて罵った。
どやどやと室外に、衛士やボデーガードたちの足音が馳け集まった。
南海のリゾート地は、殺気にみちた。
参謀総長が後ろには、ラトロワを始めとするヴォールク連隊の衛士が控えている。
また、御剣が後ろには、神野志虞摩や紅蓮醍三郎などの第19警備小隊の護衛。
彼らは、剣環を鳴らしてざわめき立った。
レバノン事件の後は、ここに戦いもなかった。
鬱気ばらしに、ひと喧嘩、血の雨も降りそうな時分である。
「もう、来るものか!」
マサキは言い放って、自分からさっと、ゼオライマーが駐機してある沖合の方へ歩いて行った。
まだ怒りの冷さめないソ連赤軍大尉は、火のような感情のまま、外道を憎むように唾して語った。
「この不届き者めッ!」
外交団長の御剣は、冷静である。
にが笑いさえうかべて聞いていたが、マサキが本当に帰るそぶりを見せ始めたので、
「木原君の要求が、嫌なら……
我ら日本外交団は、直ちに帰らさせてもらうことにします」
これはマサキと御剣の一世一代の大芝居だった。
ソ連を慌てさせるために、マサキと美久は帰るそぶりを見せたのだ。
参謀総長は、まずいと思ったが、あわてて、
「待てくれ……いう通りにしよう」
ソ連側は、日本政府の要求に応じる形で、二名の者が鎧衣たちの方に歩み寄っていった。
赤軍参謀総長の護衛隊長を兼任するグルジア人大尉とラトロワであった。
御剣も、そのことを確認すると、満足げに同意した。
「よかろう」
御剣の護衛隊長を務める紅蓮は、一
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