第五十四話 雨が降る中でその五
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「いないからね」
「その時はよくてもね」
「何時かは報い受けてるわね」
「これ実際にもよね」
「表面はいい顔していてもね」
「不思議なことだけれど」
それでもというのだ。
「そうなってるわね」
「神様が見てるってことね」
「それで人もやっぱり見てる」
「その人の行いをね」
「だからばれてないと思っていてもね」
「ばれててね」
そうしてというのだ。
「人の接し方も変わるし」
「誰も悪人と付き合いたくないし」
「悪人と付き合うって悪人だけだし」
「警察にも通報されるしね」
「そういうことね、行いは見られてるのよ」
咲はまさにと述べた。
「底意地が悪くて態度も意地もそうで思いやりがないイキリなんてね」
「誰も離れるわね」
「表面上は付き合っていても」
「やがてはね」
「そうなるわね」
「そう、そしてね」
それでというのだ。
「何かあったら」
「さっと離れるわね」
「皆態度でもね」
「そうなるわね」
「そうよね」
咲は考える顔で述べた、これまでそうしたどうにもならない者達も見て来たのでそれで実感もしていることだった。
「だから悪事ってのはね」
「するものじゃないわね」
「ばれるしね」
「人も見てるし」
「後で自分に返ってくるし」
「どうしてもしてしまうけれど」
咲はバツの悪い顔でこうも言った。
「ズルとかせこいこととか」
「あるけれどね」
「ばれないと思ってね」
「その場その場でね」
「しちゃうわね」
「人間生きているとね」
そうしているだけでというのだ。
「いいこともするけれど」
「悪いこともするわね」
「それは事実よね」
「悪いことしたことない人なんているか」
「そう言われるとね」
「いないでしょ」
咲は言い切った。
「それこそ」
「まあいないわね」
「まずね」
「人間生きていると悪いことするわよ」
「食べても命貰ってるし」
「殺生もしてるわ」
「悪人正機っていうけれど」
浄土真宗のこの言葉も出した、鎌倉時代親鸞上人が開いたことの教えは悪人とは自分が悪事を行ったことを自覚している者でこの者こそ救わねばならないという考えである。
「悪いことしたことない人ってね」
「いないわよね」
「一人もね」
「それこそね」
「悪いことしたことない人いるか」
「そう言われるとね」
「いないわよね」
まさにというのだ。
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