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冥王来訪
第三部 1979年
孤独な戦い
月面降下作戦
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応じるのです」
「そいつは、あまりにも冒険主義的過ぎる」
「私は考えに考え抜いた後、それをいっているのだ。
今こそ、話し合いが必要なのだと……」
 KGB長官は、いやいやうなずいた。
彼として、おもしろくない赤軍の形勢にふと気が重かったものだろう。
彼は自分の席から上座を仰いだ。
「木原は、ハバロフスクを爆破し、そしてベイルートまでも爆破した。
如何に長大な力を示そうとは言っても、このままいけばソ連の、いや地球の破滅を招く」

「現に、東ドイツをはじめとする東欧諸国はこぞってNATOの軍門に下りました。
国際関係のねじれは酷くなる一方で、その内、中近東での影響力を失う遠因になります」
参謀総長は、力をこめた。
「これは核による力の均衡が崩れてきている証拠です。
この破滅から逃れるには、日本野郎を一時的に利用するしかありますまい。
同志議長、どうぞご裁可を」
 赤軍参謀総長の熱心な説得に、チェルネンコ議長はついに決心した。
「君の責任で、やり給え」
参謀総長は議長の裁可を拝して、押しいただき、
「ありがとうございます」
 議長をはじめとする閣僚たちに、謝辞を述べる。 
議場にかかる真影と国旗に最敬礼をした後、そのままその場から下がった。



 その頃、日本政府は。 
洛中にある首相官邸に、マサキ達を呼び出していた。
 議場には、三権の長と、官房長官をはじめとした国務大臣。
ずらりと次官と次官級の高級官僚が居並んでいた。
「この報告は……本当かね、木原君。
木星と土星にもBETAが存在し、ハイヴが建設されていたというが……」
官房長官の言葉を受けて、マサキは氷のように冷たく答えた。
「木星の衛星ガニメデと、土星の衛星タイタンは、早い時期にはBETAの手に落ちていた」
 そう告げると言葉を切り、タバコに火をつける。
上司の前で平然と喫煙する姿に、さしもの美久もあきれ果てるばかりであった。
「記録フィルムはあるかね」
「ああ」
「見せたまえ」
 映写機から映し出されたのは、ガニメデでの戦闘記録であった。
氷で覆われた氷天体の5000キロの衛星内に、凄惨な地獄絵が繰り広げられている。
「これが、ジェイカイザー」
 グレートゼオライマーが長距離射撃用の砲身に変形した様が映された。
「そして、オメガ・プロトンサンダー」
 背中に付いた羽根型の大型バインダーの先端が、クローズアップされる。
先端から飛び出した蟹のはさみに似た形状のものが、原子核破壊砲の装置であった。
「標準なしの1斉射で、ジェイカイザーは、60万。
プロトンサンダーでは、200万のBETAを一瞬のうちに灰にすることが出来る」  
 酸鼻な奈落の底で、超然とそびえるグレートゼオライマー。
その姿は、地獄の業火の中
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