暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第三部 1979年
孤独な戦い
月面降下作戦
[1/6]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 月面攻略作戦に関して、国際連合は無意味だった。
米国主導での国連軍結成は、79年1月から3月にかけて安保理で審議された。
だが、ソ連の拒否権行使、中共の棄権により何ら具体的結論を得られなかった。
 中共が棄権した理由は、単純だった。
支那の国土は、未だBETAの災いから回復しておらず、ソ連の衛星国である北ベトナムとカンボジア問題で対立していた為である。
 ソ連は、国連軍結成に際して、G元素の戦略兵器指定を打診し、第二次戦略兵器制限交渉の中に入れるよう求めてきた。
軍縮を進めたい米国国務省や国防省はその流れに応じる姿勢を見せ始めた。
しかし、米国議会はその表明に反発し、ヘルシンキで交渉中だった戦略兵器削減条約の批准を拒否した。
意趣返しと言わんばかりに、ソ連は安保理に上がるすべての議題を拒否するという事態に陥った。
 その為に国連に向けられる世人の目は厳しかった。
安保理は、政治的解決に資する場所とは考えられず、有閑(ゆうかん)老人の茶話会と揶揄された。

 マサキが威力偵察を行った話は、ソ連にも漏れ伝わっていた。
グレートゼオライマーに関する情報のは、斯衛軍に潜入したGRUスパイによってリークされた。
即座に在京のソ連大使館から、ウラジオストックのソ連共産党本部に渡っていた。
以上の理由から、ソ連共産党は、マサキの太陽系におけるBETA殲滅作戦の実態を把握していた。
 無論、手をこまねいているばかりの彼等ではない。
様々な手練手管を使って、G元素の開発に参加する方策に乗り出したのだ。

書記長の質問から始まった、臨時閣議は以下のようなものだった。
「この作戦は、木原による単独行動かね」
 書記長からの問いに、GRU部長は、驚いたふうもない。
事実、マサキの行動には、ソ連の上下とも、麻痺していた。
「……ともいえません。
つまり、CIAの指示により、日本の情報省が極秘に調査したという様な……」
「CIAが動いているのかね」
GRU部長は、CIAの同行をスパイから報告を受けながら、いま知ったように、わざと言った。
「CIAと、非常に強いつながりを持ったものが背後にいるとしか……」
「CIAは何を画策しているのか。
その背後関係を調べたまえ。その上で最高幹部会議で結論を出す」

「これは、KGBとしてもうかうかしておれませんな」
「何、」
 KGB長官は、うなって、聞きすまし、
「KGBとしては、かえって、復讐心が湧くというものですよ」
と、天井を仰いで言った。


「ところで米軍が新作戦を練っているらしい」
議長がつぶやいた一言に、一方の外相も、ぴくりと顔をあげていた。
「新作戦?」
「作戦内容はまだわかってないらしい」

 今、中に飛び込んでいったら、参加したNATO諸国
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ