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俺様勇者と武闘家日記
第2部
スー
スー族の里を後にして
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と鳥の足を結びつけた。
「さあ、兄のもとへ行くんだ!」
 再び口笛を吹くと、鳥は大きく翼を広げ、颯爽と飛び立った。
「この通り、鳥は我々の貴重な情報手段なのだ」
 アナックさんは誇らしげに言うと、大空へ羽ばたく鳥を見送った。
「それはよくわかったが……手紙にはなんて書いたんだ?」
「『もうすぐあなたのところに我が一族の宝を持った勇者が訪れる』としたためておいた」
「何しれっと事前報告してるんだ、あんたは」
 アナックさんの見事(?)な作戦に、すぐにツッコミを入れるユウリ。当然鳥の方が早く着くだろうし、あんなことを書かれては、アナックさんのお兄さんのところに行くしかない。
「最後の鍵を手に入れたら真っ先にお前の兄のところに言って文句を言ってやる」
 そうぶつぶつ文句を言うと、ユウリはアナックさんに背を向けて先に歩き出した。
「あっ、待ってよユウリ!!」
「ユウリさん! 置いてかないでください!」
 不機嫌そうに船へ戻ろうとするユウリを、私とルカは慌てて追いかけようとする。
「兄によろしく伝えといてくれ。我々スー族は、あなたたちを心から歓迎する」
 振り向くと、アナックさんが私たちに手を振っている。人の気も知らないで、と思いながらも、私たちはアナックさんに手を振り返すと、スー族の里を後にした。



「お帰りなさい、皆さん!!」
 およそ二週間ぶりに船に戻った私たちを出迎えてくれたヒックスさんは、私たちがスー族の里にいる間、とても心配していたそうだ。
「何しろ他国の人間がほとんど足を踏み入れたことのない場所ですからね。随分心配しましたよ。でもさすが、ユウリさんたちですね! よく無事に帰ってきてくれました」
 ほっとしながら話すヒックスさんに、私も暖かい気持ちになる。短い間に随分と気苦労をさせてしまったようだ。
「すいません、ご心配かけてしまって」
「何、気にしないでください。我々が勝手にそう思っているだけですから」
 ヒックスさんがそう言うと、周りにいた他の船員たちも頷く。皆なんていい人たちなんだろう。
「すまないが、もう少し長旅になりそうなんだ。この場所に浅瀬の祠があるそうなんだが、今から行けるか?」
 そう言ってユウリは、先ほどアナックさんに教えてもらった浅瀬の祠の場所を、世界地図を広げて見せた。
「ははあ、ここからなら二週間ってところですかね。食糧は前の町で補充しましたんで、大丈夫ですよ」
「ありがとう、助かる。では、早速向かってくれ」
「かしこまりました」
 ユウリの頼みにヒックスさんが一礼すると、船員たちは一斉に持ち場へと急ぐ。取り残されたのは私とルカのみ。
「はあ、やっぱかっこいいよなあ、ユウリさん」
「まあ、確かにエジンベアじゃあ王女様に好かれてたくらいだし」
 するとルカは、あか
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