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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
勇士-れじすたんす-
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「…。」

振り返り、武蔵を見る。
彼女の表情は考え込んではいるが、おそらく最後の決断は俺に任せるだろう。
葛城財団を倒すため。
ならば是非とも加わりたい。
しかし、

「すまない。少し時間をくれないか?…武蔵と2人きりになれる場所が欲しい。」

少しだけ考える時間が欲しかった。

「ふむ、いいだろう。柏原。」
「はい。」

柏原は呼ばれると、「では元いた病室まで案内します」と言い部屋のドアを開けた。

「迷うことは誰にでもある。ゆっくり考えていい答えを持ってきてくれよ!」

去り際にシャルルマーニュにそう言われ、俺達は部屋を出ていく。



そうして俺と武蔵は柏原に案内され、俺が眠っていたあの部屋まで戻ってきた。

「私は部屋の前で待機しております。防音完備ですので事が済んだらノックしてお伝えください。」
「助かる。」
「とはいえ、いきなりあのような選択を迫られるのは厳しいですね。」

と、柏原が心配そうな表情でそう言った。

「…心を読んだのか?」
「いえ、ただの気遣いです。」
「…そうか。」
「ただ、覚えていて欲しいのです。」

部屋に入り、ドアを閉める直前。柏原は一つだけ言った。

「賢狼殿も日々悲しみと憎しみを背負い、いち早くこの戦いが終わることを誰よりも願っているのです。良き選択を、待っておりますよ。」
「ああ、分かった。」


バタンと扉を閉め、2人きりになる。
その瞬間だ。

「…!」

誰もいない病室。
そこで武蔵は俺の胸に抱きついた。

「…武蔵。」
「大和くん…五日間ずっと眠ってたのよ…死んじゃったかと思った…!もう起きなかったら…どうしようって…!!」
「…すまない。心配をかけた。」

先の戦い。
俺は山本に殴られてから記憶はないが、凄惨なものだったんだろう。
だって

「守りきれなくて…ごめん…っ!」

武蔵が泣いているのだから。

「私…ダメだ…サーヴァント失格だ…。」
「…。」
「あの人達が助けに来なかったら…本当にやられてた。大和くんはいなくなって…私は財団の玩具になってた…!!」

何も言わず、背中にそっと手を回してトントンと叩く。
気にしなくていい。
本来ならマスターは後ろで指示するものだ。
前に出たがったのも、最初の頃の俺のワガママだ。
言ってしまえば自業自得。悪いのは…俺だ。

「あまり…自分を責めるな。」
「…。」

聞こえるのは彼女の嗚咽。
時折肩がびくんと上がり、泣いているのが分かった。

「でも…生きてて本当に良かった…!」
「安心しろ。俺はしぶといさ。」

生きていたから、なんとかなった。
もし、俺が死んでいたらどうなっていたか。
そう考える
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