第二章
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「長い戦争で沢山の人が死んで」
「長く続いてね」
「大変だったのよね」
「わしはフランスとの戦争にちょっと行ってな」
そうしてというのだ。
「そこからずっとだった」
「戦争ばかりで」
「お爺ちゃん大変だったのよね」
「八十になるが」
自分の年齢のことも話した。
「今こうして生きられて息子達の仕事を見ているだけでどれだけいいか」
「平和が何よりね」
「こうして働けるのがいいのね」
「働かざる者最高だ」
こうまで言った。
「戦争はないならな」
「それに越したことはないのね」
「本当に」
「そうだ、平和であればな」
それならというのだ。
「それで働いて食えるならな」
「それでいい」
「お爺さんいつも言うわね」
「微姉妹なんてな」
ここで老人はこの姉妹の名前を出した。
「どうして戦ったか」
「中国の圧政に対してよね」
「旦那さんが殺されてね」
姉妹は教科書で習ったことを老人に話した。
「それで立ち上がってね」
「中国と戦ったのよね」
「当時は漢だったけれど」
「あの国に命を懸けて向かったわね」
「若し戦う必要がなかったらな」
その微姉妹がというのだ。
「二人共歴史には残らなかったが平和にだ」
「暮らしていたのね」
「そうだったのね」
「そうだ、普通に働いてな」
そうしてというのだ。
「生きていた、食っていたんだ」
「微姉妹最後死ぬしね」
「中国から名将が来てね」
馬援である、後に三国時代に蜀の将の一人として今もよく知られている馬超は彼の子孫であることでも有名である。
「それで負けてね」
「二人で川に飛び込んで自害したわね」
「そうなったのよね」
「名将が大軍を率いてきたから」
「そうなった、しかし平和だったらな」
それならというのだ。
「ベトナムは独立出来なかったかも知れんが」
「そこから我が国の歴史ははじまってるし」
「微姉妹が立ち上がってから」
「そう思うとどうなっていたか」
「わからなかったわね」
「そうだがな」
自分達の国がはじまっていたかわからないというのだ。
「姉妹は平和に暮らしていただろうな」
「姉妹にとっては幸せだったかもね」
「その方がね」
「戦争がなかった方が」
「最後は自害もしなくて済んで」
「そうだろうな、そしてその働きぶりはな」
微姉妹のそれはというと。
「ベトナムの女だからな」
「それでなの」
「ベトナムの女の人だから」
「そうだ、凄かったぞ」
「ベトナムの女の人って働き者だから」
「それもかなり」
「ベトナムはよく女が強いと言われるな」
このことも言うのだった。
「そうだな」
「ええ、何かとね」
「そう言われるわね」
二人もその通りだと答えた。
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