第二章
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「そうしてくれるかな」
「考えさせてくれ」
滝本は琴にまずはこう答えた、そして暫くの間考えて。
ハローワークに行きある工場に就職した、そのうえでだった。
彼は表の世界で働きはじめギャンブルから足を洗った、妹はこのことに素直に喜んだ。
「よかったわ」
「そんなに嬉しいか」
「うん、お兄ちゃんが危ない世界から出てくれてね」
「俺がそうしてか」
「私お金はいいの」
前に贅沢はいいと言ったが今度はこう言ったのだった。
「だって二人で普通に暮らせてるでしょ」
「工場の給料でな」
「私もお兄ちゃんも贅沢しないし」
だからこれまで稼いだ金も生活費以外は貯金か寄付をしていた、滝本も無欲なので浪費はせずにそうしていたのだ。だから二人共住んでいるのは風呂と台所のあるアパートの一室で近所のスーパーで食べものや生活用品を買って暮らしている。
「だからね」
「これでいいか」
「私は家事頑張るから」
「俺は普通に働いてか」
「お仕事してね」
「そうしていくな」
こう言ってだった。
滝本は工場で真面目に働いてだった、琴と共に暮らしていった。そうしている間に琴は中学校に入学したが。
ある日の朝だった、いつも通り工場に出勤して働いていた彼に工場長が慌てた顔でこう言ってきた。
「滝本君、妹さんが登校中に」
「どうしたんですか?」
「急に倒れたんだ」
そうなったというのだ。
「だからすぐに市立病院に行ってくれ」
「わかりました、それじゃあ」
すぐにだった。
滝本は病院に駆け付けた、そのうえで医師から妹のことを聞くと。
「手術が必要ですか」
「はい、急に倒れたのはです」
妹である彼女がというのだ。
「心臓のことで」
「あいつ心臓が悪かったんですか」
「急に悪化しました、妹さんの心臓は」
暗い顔でだ、医師は彼に話した。
「早急に移植手術が必要です」
「移植ですか」
「そうなりますと手術代が」
「どれだけですか?」
これまでのギャンブルと働いてきたお陰で貯金はかなりある、それで彼は手術代も出せると思ってこう返した。
「一体」
「はい、それは」
医師はその手術台を話した。
「移植だけでなく他にもお金が必要で日本では出来る人は一人ですが」
「その人はですか」
「法外な報酬を要求する人で。幸いその人とはすぐに連絡が取れましたが」
「それだけの手術代をですか」
「要求してきました」
「そうですか」
「ありますか?」
医師は暗いそして真剣な目で滝本に問うた。
「そちらに」
「何とかします」
貯金では足りなかった、しかもその貯金は妹の将来の学費や結婚の時にと考えていた。それがなくなることも考え。
どうにかしようと考えた、借金はその後が大変なことになるので最後の最
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